豚コレラとは?人への影響は? 沖縄県内では1986年以来の発生


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(写真はイメージ)

 沖縄県内では1908年と86年の2度、豚コレラの発生が確認されている。08年は那覇市首里で9頭の豚が豚コレラで死んだ。86年は名護市と本部町の農家で発生した豚コレラが中南部にも飛び火し、1600頭以上が殺処分された。感染の疑いがある今回の養豚場で発生が確認されれば、県内では34年ぶりとなる。

 国内では2018年9月に岐阜県で確認されたのを皮切りに、全国に拡大した。1992年に熊本県で確認されて以来となる発生だった。豚コレラは感染力や致死率が極めて高く、1頭でも確認されれば同じ養豚場で飼われている全ての豚が殺処分されるため、農家に甚大な被害をもたらす。

 国内での感染の広がりを受け、県内でも市町村の担当者を集めた対策会議や養豚農家、飼料会社向けの侵入防止説明会を開き、感染防止のための衛生管理や感染した場合の初動作業などを共有していた。

 沖縄在来種アグーとの触れ合い体験を売りにしていた名護市のテーマパーク「アグー村」(名護市)では畜舎の見学や触れ合いを休止するなど、ウイルスの豚舎への侵入防止対策による影響も見られている。


<用語>豚コレラ

 豚やイノシシに感染する病気で、強い伝染力と高い致死率が特徴。人に感染することはなく、仮に豚コレラの家畜を食べたとしても人体に影響はない。感染した豚は発熱や歩行困難、下痢などの症状が現れる。ダニの媒介や、感染した家畜との直接的な接触により感染が拡大する。豚コレラ感染の検査で陽性が出た場合、対応は殺処分のみとなる。ウイルス発生源の農家の豚が移動した経路によっては、接触履歴のある他の家畜も殺処分の対象となることがある。発症の防御として豚コレラワクチンの接種があるが、無計画な接種は感染した豚が分かりにくくなるため、県内で同時多発的に発生した場合などの緊急時にしか適用しない。ワクチン接種した家畜を食べても人体への影響はない。