沖縄県農林水産部は10日、沖縄市内の養豚場で新たに豚コレラ(CSF)の感染を確認したと発表した。飼育数は2809頭で、ウイルスのまん延防止のため全てが殺処分される。県内の豚コレラ発生は3件目。8日に発生が確認されたうるま市の農場から半径3キロ圏内にある養豚場の検査で見つかった。県は家畜検査の範囲を発生場所から10キロ圏内に広げる方針を固め、さらなる感染事例が見つかった場合にはワクチン接種の導入を検討する。
県は沖縄市の養豚場で飼育されていた豚について12日までに殺処分を終え、14日までに埋却や豚舎の洗浄・消毒などを完了する予定。しかし、沖縄市による埋却地探しが難航しており、殺処分に取りかかれない状況となっている。
8日のうるま市の豚コレラ感染を受けて、県は発生場所から3キロ圏内の養豚場12カ所を対象に家畜検査を実施した。遺伝子検査の結果、沖縄市の養豚場の豚から陽性反応が出た。9日に県が養豚場への立ち入り調査をしたところ、豚にせきや下痢などの症状が見られた。症状のある豚を解剖して調べた結果、10日に豚コレラの陽性と判明した。
残る11カ所の養豚場は陰性の可能性が高いという。県によると、殺処分される豚に沖縄の在来種「アグー」は含まれない。
沖縄市の発生農家から3キロ圏内は養豚場から家畜や飼料などの移動が制限され、3~10キロ圏内は域外への移動が制限されるエリアに指定された。
うるま市の養豚場で飼育する豚の殺処分は、10日午後6時53分に完了した。最終的な殺処分の頭数は2001頭に上った。養豚場から聞き取った飼育頭数より、処理の過程で確認した頭数が多かったという。11日までに埋却などの作業を終える。
沖縄市内での感染確認を受けて、県は10日午後に対策本部会議を開いた。豚コレラの感染状況が報告され、防疫対策を強化することなどを確認した。豚コレラワクチンの接種は10キロ圏内の感染状況を確認し、養豚業者などの意見も踏まえ検討するという。豚コレラは豚やイノシシの感染症で、人間にうつることはない。玉城デニー知事は「感染した豚の肉が市場に出回ることはないし、豚肉の流通が滞ったり、不足したりすることもない」と説明した。