「1時間しか寝ていない」 職員ら夜通し対応 沖縄市の豚コレラ 拡大阻止に全力


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
敷地内に入っていく評価班と書かれた防護服姿の関係者ら=10日午後2時11分、沖縄市

 豚コレラの新たな感染が確認された10日、感染した豚が見つかった沖縄市の養豚場は入り口に消石灰がまかれ、自衛隊員や行政職員らが慌ただしく出入りし、豚の殺処分に向けた作業を進めた。初めての感染確認となった沖縄市は対策本部を設置し、市職員らが対応に追われた。 

 沖縄市に感染の疑いがある豚が見つかったとの連絡があったのは9日午後9時ごろ。県から「埋却地を探してほしい」と求められ、帰宅していた担当課職員は市役所に戻った。埋却の条件に合った市有地などの土地探しに夜通し当たった。ある職員は「1時間しか寝ていない」と漏らした。

 10日午前11時ごろ、県から「市内1カ所の養豚場で防疫措置を行う」と連絡が入ると検査結果を待たずに対策本部を設置。その後、市のホームページなどで発生を公表し、注意喚起した。午後1時ごろには国と県が「陽性」の結果を発表した。

 感染した豚が見つかった沖縄市の養豚場は午後2時前、防護服を着た行政職員とみられる複数の男性が入っていった。午後5時半には防護服姿の自衛隊員がバスで到着した。長靴などを持ち、険しい表情で農場に続く細い道を入っていった。

 殺処分に使われるガスが入っているとみられるボンベも運び込まれ、防疫作業の準備が進められた。

 沖縄市役所では、関係部局の担当者が市長室や副市長室などを行き来した。川満永公農林水産課長は「まん延防止のために県と連携し、感染を最小限にとどめたい。農家が経営を立て直せるよう支援したい」と話し、慌ただしく調整に戻った。

 桑江朝千夫市長は一時庁舎を離れ、埋却地選定の調整に苦慮した。午後4時半に予定された記者会見は、約1時間遅れの午後5時45分すぎに開催。「一両日中に作業して(埋却地を)早急に決めたい」と厳しい表情で語った。