「豚コレラ」→「豚熱」に表記変更へ 政府、細菌「コレラ」との混同避ける 「人に感染」誤解解く狙いも


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「豚熱(CSF)」にはこれまで長く「豚コレラ」という名称が使用されていたが、人の感染症であるコレラと混同されやすいため、政府与党は20日開会の通常国会に家畜伝染病予防法を改正し、名称を変更する予定だ。

 人のコレラは細菌のコレラ菌による感染で、ウイルス感染の豚熱とは全く関係ない。アジアで感染が広がる「アフリカ豚熱(ASF)」と豚熱も、原因となるウイルスが異なる違う病気だ。

 豚熱もアフリカ豚熱も、豚とイノシシ以外の動物や人間には感染しない。農水省は「豚コレラ」の名称のままだと人に感染するという誤解や不要な不安を招く恐れがあるとして、法律上の名前を英語の「クラシカル・スワイン・フィーバー(古典的な豚の熱)」の直訳である豚熱に変更する方針だ。法律改正後、呼称としては世界的に使われているCSF、ASFを定着させていく。

 家畜繁殖に詳しい眞鍋昇東京大名誉教授(世界在来豚研究会会長)は「やはり『豚コレラ』というとコレラだから人にうつると誤解する人もいる。人にはうつらないことを正確に伝えて豚肉の消費を落ち込ませないためにも、メディアも先んじて豚熱に変えた方が良い」と話した。

 同様に一般的な呼称が変化した例として、かつて「狂牛病」と呼ばれていた牛の病気を、現在では「牛海綿状脳症(BSE)」と呼ぶようになっている。日本獣医師会は2001年に「狂という用語は病態を適切に表現していないばかりか、関連があるとされる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者の人権にも関わる」という声明を発表した。