中華圏の旧正月(春節)に伴う大型連休が24日から始まり、沖縄にも中国や台湾から多くの観光客が訪れると見込まれる。観光業にとっては冬場の重要な収入源だが、今年は中国の武漢市で確認された新型コロナウイルスによる肺炎の防疫対策が懸案となっている。
春節の休暇は24日から30日までで、中国全土では延べ30億人が移動するといわれている。県は春節期間に区切った観光客数の統計を取っていないが、2019年に春節があった2月の中国からの観光客は7万7200人となっており、1月の6万6400人、3月の4万5100人を上回っている。18年も同様に春節の時期に中国からの観光客が多かった。
県と沖縄コンベンションビューロー(OCVB)は24日、県庁で会議を開き、新型コロナウイルスによる肺炎について感染予防策などを確認した。県観光振興課はOCVBと各市町村の観光協会に、予防策やインバウンド医療通訳コールセンターの概要などを記した注意喚起をした。
ホテルパームロイヤルNAHA(那覇市)では、春節に向けて従業員に手洗いうがいを意識的に行うよう呼びかけている。総支配人の高倉直久氏は「ウイルスがどこから持ち込まれるか分からない。少しでも熱っぽかったり体調が悪い人は休ませるように意識している」と話した。
りゅうぎん総合研究所の武田智夫調査研究部長は新型肺炎について「沖縄に来た観光客の感染が確認された場合は、修学旅行など国内客が旅行を控えるといった風評被害が出る可能性もある。水際でしっかり検疫をすることが必要だ」と話した。
東アジアでの感染症としては、02年から03年にかけて重症急性呼吸器症候群(SARS)が香港や台湾で感染が広がった。当時は沖縄への外国人観光客の数自体が少なく、観光へのダメージは軽微だった。県の報告などでは、むしろ国内客の海外旅行の振り替え需要などで沖縄観光は好調だったと指摘している。