御座楽のロマンを感じて 研究・実演家の山内盛貴 沖縄ルーツに誇り音楽へ道進む


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本番に向けて「紗窓外」を練習する山内盛貴=24日、浦添市の国立劇場おきなわ

 御座楽復元演奏研究会が出演する「知立市文化会館開館20周年記念プレ公演 市民とつくる舞台芸術プロジェクト『長線(ちゃんせん)がつなぐ知立と沖縄』」が愛知県知立市文化会館で2月2日に開催される。公演では沖縄音楽研究家で実演家の山内盛貴が御座楽の復元演奏と長線弾き語りを披露する。盛貴は琉球王国時代の音楽を保存、継承した研究者・山内盛彬のひ孫。盛貴は「演奏を通して歴史的なロマンを感じてもらいたい」と盛彬や御座楽への思いを語った。

 宮廷式楽の御座楽は中国から伝来し、琉球人が受け継いできた。首里城で育まれ江戸上りでも演奏されるが、明治の廃藩置県により途絶えてしまう。数少ない資料を基に楽器を復元し、御座楽復元演奏研究会によって演奏されるようになった。御座楽で用いられる琉球古楽器「長線」は1990年代初頭に知立市の無量壽寺に現存されていることが分かり、以来長線をつないだ交流が続いている。

 盛貴は千葉県で生まれ育ち、15歳の時に盛彬の存在を知る。初めて沖縄を訪れた時に、親戚から長線や三線、琴を習った経験をきっかけに、沖縄古典音楽に興味を抱くようになった。「沖縄の文化や歴史を調べるほどに面白みを感じ、自分自身のルーツを知るということでも盛彬はとても興味深い存在。いずれは盛彬の残した資料をアーカイブとして公開したい」と語る。

 慶應大を卒業後、2017年に県立芸大大学院音楽学専攻に進学する。盛彬が残した楽譜や音源に触れ沖縄文化や歴史、音楽を研究するにつれ、研究者と実演家の両方の道を志すようになった。野村流保存会や首里クェーナ保存会などにも所属し、御座楽復元演奏研究会では長線と月琴を担当する。

 来月2日に知立市で開催される公演に向けて盛貴は「御座楽と愛知の伝統芸能の浄瑠璃が上演される今までにない形の公演なので楽しみだ」と意気込んだ。

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 「長線がつなぐ知立と沖縄」は2月2日午後1時半からパティオ池鯉鮒(知立市文化会館)花しょうぶホールで開催される。チケットは完売した。