首里城再建始動、防災に課題 焼失3カ月


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火災から3カ月、この日も多くの観光客や修学旅行生らが訪れた首里城=30日、那覇市首里

 沖縄那覇市の首里城で正殿などが全焼した火災から31日で3カ月を迎えた。県は2020年度予算案に焼失した美術工芸品の復元や段階的な公開に向けた仮設通路の整備費用などとして、4億円余りを計上する方針を固めた。また、30日の参院本会議で、国土交通省が首里城復興に向けて計上した正殿前の龍柱の保護や公開、焼け残った瓦の保全回収などの関連経費8億円を含む19年度の補正予算が可決・成立するなど、県と政府で首里城再建に向けた予算措置が進んでいる。

 県は19年12月に「首里城復興の基本的な考え方」を発表。再建へ重要課題の一つに「火災の原因究明および防火・施設管理体制の強化」を掲げており、19年度中に防災の在り方を含めた基本方針を取りまとめたい考えだ。一方、火災原因を踏まえ設置するとした県の第三者委員会は、現段階で火災原因が特定されておらず、設置できていない状況だ。

 3カ月間で県内外から寄せられた約27億円の支援金について県は一時、「琉球文化の復興」などソフト面にも活用することを検討していたが、寄付者の意向を尊重し、正殿などの再建に充てる方向で調整している。

 有識者懇談会とは別に、県民の思いを反映させるための「首里城復旧復興県民会議」(仮称)は1月30日現在、設置されていない。県は「県が主体となるのではなく、民間で機運が盛り上がってきたときに設置されると考えている」としている。