無垢な少女の負けない強さ 映画「ちむぐりさ菜の花の沖縄日記」1日から桜坂劇場


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記(桜坂劇場提供)

 文章、絵、映像、トーク、芸。人が何かを表現したとき、そこには、意図せずとも本人の考え方や生きざま、人柄が浮き彫りになる。優しい人だな、野心家だな、真面目そうだな、幸せそうだな、いろいろうまくいってないんだろうな、怒ってるんだろうな、などなど。だからもう、ここでこうして映画について語りつつ、いろいろバレてると思うと、毎回気が気じゃない。

 さて、みんなが大好き平良いずみさんが母となり、映画監督になりました。ご存知でしたか? 女子アナというベールを脱ぎ捨て、一人の人間として、母として、感情を丸裸にした骨太のドキュメンタリー映画がいよいよ公開です。

 北国からやってきた少女、坂本菜の花ちゃんの目を通し、沖縄の現在を客観視する内容。ただそこには、可愛(かわい)くて健気(けなげ)な菜の花ちゃんに負けない強さで、監督の意志が存在する。「この島ではまだ戦争が続いている」。無垢(むく)な少女はその現状に胸を痛め、何かできることを探す。と同時に、監督が、感情を爆発させている。「ワジワジー」そんな声が聞こえてきそうな力強い映画だ。(桜坂劇場・下地久美子)