〈37〉飲酒と頭痛 タイプ見極め適量を


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 飲酒が頭痛に悪影響を与えることは、飲酒経験のある方はご存知でしょう。

 その原因物質は二つあり、アルコールそのものと代謝産物のアセトアルデヒドです。アルコールには血管拡張作用があり、急性副鼻腔(びくう)炎や扁桃(へんとう)炎など頭痛を伴う熱性疾患では、炎症部位の血流が増加し、症状が悪化します。片頭痛や群発頭痛は血管拡張が痛みの主要因であり、飲酒により頭痛が誘発されたり悪化したりすることがあります。

 一方、後頚部(けいぶ)筋群の緊張が主要因の緊張型頭痛では、アルコールによるリラクセーション効果で頭痛が緩和されることがあります。つまり頭痛のタイプで飲酒の影響は異なるため、その見極めが重要です。

 典型的には、片頭痛や群発頭痛では、前頭部や側頭部に血管の拍動に一致したズキンズキンとした痛みが生じます。緊張型頭痛では、後頭部から側頭部に締めつけられるような痛みがあります。両者が混在した頭痛もありますので、個人で判断できない場合は専門医での診断がお勧めです。

 アセトアルデヒドはアルコールが肝臓で分解されて生じる代謝産物で、二日酔いの頭痛や吐き気の主要な原因とされています。アセトアルデヒドは酵素により分解され、最終的には水と二酸化炭素になりますが、この酵素活性には個人差があり、お酒への強さ・弱さを決定付けています。

 摂取したアルコール量に比例してアセトアルデヒドも体内に貯留されるので、過度の飲酒は頭痛の原因になります。

 さらに、アルコール飲料の種類によっても影響は違ってきます。ウイスキーや泡盛、焼酎などの蒸留酒に比べて、ワイン、ビール、日本酒などの醸造酒はポリフェノールなどアルコール以外の成分が多く含まれています。これらがアルコール代謝に影響を与えてその分解が遅れ、頭痛を起こす可能性が高くなるとも言われています。

 頭痛持ちの方は、自分の頭痛のタイプを見極め、適量の飲酒を心がけることが大切です。

(久田 均、脳外科クリニックくだ 脳神経外科)