世間に疎まれた女性の大成までの道のり 映画「草間彌生∞INFINITY」シネマプラザハウスで上映


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 過日、日本の著名な女流作家の絵画展がありのぞいてみた。リトグラフでも数十万円する作品が並ぶ一角に、20センチ角もないような小さな作品があり百万単位の値がついていた。独特の網目と水玉で緻密に描かれた草間彌生の作品。

 天才ゆえの生きづらさを映画は度々描くが、凡人の身では表現への葛藤にあれ狂う心情に添うのは困難。だが1929年生まれの草間が画家として身を立てようとして、女であることがいかに彼女の行く手を阻んだかは想像に難くない。

 自分の才能に絶対の自信を持ち、渡米前に2千枚もの絵を焼き捨てていったが、アメリカでも女流芸術家が個展を開くことは不可能な時代だったという。

 90歳を超えた今でも、“後から後からアイデアが浮かぶ”という彼女の尽きぬ表現力の源泉に驚嘆しながら、道を切り開くために負った傷もまた深いと知る。パワフルなだけに世間に疎んじられ、認められるまでの長き道のりに嘆息する。知っていそうで知らない草間彌生の世界。監督はヘザー・レンズ。
 (スターシアターズ・榮慶子)