実相知り平和の礎に 本部・健堅遺骨発掘 証言裏付ける進展期待


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 【本部】沖縄戦で動員された朝鮮人2人を含む14人の遺骨が埋葬された本部町健堅の遺骨共同発掘プロジェクトの本格始動の集まりが8日、同区の公民館で開かれた。日本や韓国、台湾の若者ら約60人が参加し交流を深めた。9日からの本格的な作業を前に、関係者らは発掘作業を通して日韓の相互理解や東アジアの平和につながると期待を込めた。

沖縄戦時中に「彦山丸」の犠牲者が埋葬された土地で見つかった背骨とみられる骨=8日、本部町健堅

 9、10日は午前から発掘を開始し、12日までの4日間の日程で延べ100人が作業に参加する。

 「本部町健堅の遺骨を故郷に帰す会」共同代表の沖本富貴子さんは「今回の発掘は日韓の歴史を背負ったものとなる。戦後75年になるが、いまだに遺骨が放置されている。遺骨発掘で戦争の歴史を確認し、市民交流を通してアジアの平和につなげたい」とあいさつした。本部町の平良武康町長は「明日からの共同作業の中で(骨が)発掘され、犠牲になった方が故郷に戻れることを願っている」と語り、発掘作業の進展に期待した。

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんは「これほど情報がある遺骨収集の現場はほとんどない。4日間で掘り進められるところまで進めていきたい」と語った。

 7~8日にかけて発見された背骨とみられる複数の骨について、韓国遺骨発掘専門団団長で忠北大学校名誉教授のパク・ソンジュさんは「見つかった時の状態が良く、戦後の骨だと考えている。大きさから、18歳以下の人間のものだろう。火葬して埋葬したとの証言から、当時の骨であれば灰とともに出てくる可能性がある」と見解を述べた。

 京都府出身の在日朝鮮人3世で、祖父が戦時中に日本へ渡ってきたという金英鉉(キムヨンヒョン)さん(34)=北海道=も作業に参加。「祖父が戦争で犠牲になって、私が生まれない可能性もあったと思う。人ごとと思えず、祖先の遺骨を探している気持ちだ」と語った。