県内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認された女性は、県が警戒を続けていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客との接触者だった。ただ県が特定した約200人の中には含まれず警戒範囲の外だった。感染拡大を最小限に抑え込むため、感染した女性との接触者だけでなくクルーズ船客の立ち寄り先なども含め、より積極的な調査や柔軟な検査体制が求められる。
女性の感染源は2月1日に那覇に寄港したクルーズ船の乗客だった。女性は5日にせきがひどくなり関節痛などの症状が出たが、12日に南部保健所へ相談するまで勤務を続けた。一方、南部保健所は県が警戒するクルーズ船の接触者だったにもかかわらず、感染症指定病院ではなく一般の病院を案内し、女性がほかの患者もいる中で受診する事態を招いたとみられる。
発熱がなかったことから積極的に介入しなかったとみられるが、結果的にクルーズ船乗客との接触と呼吸器症状の条件で検査し、感染を確認した格好だ。
一方、女性の行動履歴について県保健医療部の砂川靖部長は「調査はするが、詳細を公表するつもりはない」と述べた。女性との接触者を可能な限り拾い上げた追跡調査が急務だが、情報開示の在り方に疑問が残る。
県は発生早期の医療提供体制として、疑い患者は重症軽症問わず感染症指定病院で外来診察するとしていた。今回のような漏れを防ぐためにも潜在的な感染者を見つけ出し後手に回らないような取り組みが急がれる。 (謝花史哲)