PFOSとPFOA2種の合計値1リットル当たり50ナノグラムという数字が沖縄の水の安全を保障するとは考えられない。なぜなら国際的に、PFAS対策としてはPFASを「一つのグループ」として規制することが科学者から強く提唱されているからだ。PFOSとPFOAの代替品として使用されているPFASも有害性が判明しており、一つ一つを規制することでは安全を確保できない。
ゆえにPFOS、PFOAの2種のみの規制では不十分と考えられており、米国の州でも2種だけの基準値設定にとどまっていない。EUはその考えに基づき2019年12月、20種で1リットル当たり100ナノグラムに規制することを決めた。米国のNGOはさらに厳しく、全PFASで同1ナノグラム以下を規制値とすることを目標としている。
既に沖縄ではPFOS、PFOA以外のPFHxSも水源から検出されており、北谷浄水場の浄水の3種の最高値を合計すると1リットル当たり67ナノグラムである。県衛生環境研究所の17年報告では取水先の比謝川ポンプ場で8種類のPFASが検出されている。
厚労省の案は国際的な潮流からも遅れている。さらに、人体の血中濃度も全国より高い濃度で蓄積されていることも明らかになっている現地の危機的な汚染状況も理解していない。市民も知識を蓄えているので、国がお墨付きとした値を県が採用することに納得はできないはずだ。