教育、首里城、経済… 沖縄県議会代表質問の初日、玉城知事、部長たちが答弁したこととは…


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 県議会2月定例会は20日、代表質問が3日間の日程で始まった。初日は野党会派の沖縄・自民から照屋守之、座喜味一幸、新垣新の3氏が登壇し、質疑を行った。玉城デニー知事は辺野古新基地建設問題について「普天間飛行場の県外国外移設早期返還とより速やかな運用停止を含む、1日も早い危険性の除去を強く求め、公約の実現に向けて全身全霊で取り組む」と強調した。照屋氏への答弁。

 砂川靖保健医療部長は県内での新型コロナウイルス対策について「感染者が確認された場合は感染症法に基づき保健所によって積極的疫学調査を行うが、調査に必要な医療資材や人的体制は整っている」と答弁した。防疫体制や水際対策については「全庁体制での取り組みを進めるほか、検疫所および総合事務局など、関係機関と連携を密にし、感染症対策に万全を期す」と答弁した。いずれも新垣氏への答弁。

 宮城力企画部長は次期振興計画について「県振興審議会会長からこれまでの沖縄振興施策の推進により、多様な分野において多くの政策が認められた。成果には法律補助制度や一括交付金制度、沖縄振興税制などが有効に寄与し、引き続き制度を活用して沖縄振興を強力に推進する必要性を感じている旨の発言をいただいた」と述べ、現行制度の継続を求める意向を示した。座喜味氏への答弁。

 

【教育】給食費の値上げ小学校16円、中学校25円

 

 新垣新氏 公立小中校の給食費の値上がりで、公費による給食費補助や低所得層への支援の必要性が求められている。

 平敷昭人教育長 2019年度の県内の学校給食費の月額平均は小学校3831円、中学校4356円で、前年度と比べ小学校16円、中学校25円の増額となっている。県内26市町村は給食費の全額または一部を助成している。経済的に困窮している児童生徒の給食費については生活保護や就学援助による支援がある。

 新垣氏 首里城火災を受け、文化財建造物の防火対策強化が求められている。

 平敷氏 県内には国指定23件、県指定18件の文化財建造物があり、このうちの国指定9件、県指定4件が火災の危険性が高い木造建造物だ。県教委は市町村教委を通して国・県指定文化財と、これに設置されている復元施設の所有者に防火管理の点検・確認を求める通知を出している。

 

【首里城】管理体制検証へ 第三者委を設置

 

 照屋守之氏 首里城再建に係る国との調整状況について。

 玉城デニー知事 首里城の復興に向けては、さまざまな思いが込められた県民主体の取り組みを行うことが、寄付をされた方々の思いだと考えている。城郭内の施設などの復元に係る県の役割について、現在、国と協議を進めている。

 照屋氏 首里城火災に係る責任の所在について。

 上原国定土木建築部長 今回の火災について施設管理者として県の責任を感じており、今後、第三者委員会として設置する首里城火災に係る再発防止検討委員会(仮称)において、管理体制の在り方などについてしっかりと検証を行っていきたい。

 

【商工】産総研の誘致で技術課題解決へ

 

 新垣新氏 産総研のサテライト誘致について。

 嘉数登商工労働部長 産業技術総合研究所は高度な技術を有しており、サテライト誘致は県内企業の技術課題の解決や高度化に寄与すると考えている。県と産総研が連携するに当たってのニーズや課題を整理し、2019年12月にバイオやエネルギー分野など、産総研に連携テーマを提案したところだ。

 産総研には連携促進のためのイノベーションコーディネーターの派遣増、企業が課題解決の相談をするためのテレビ会議導入などを検討してもらっている。

 座喜味一幸氏 県が目標とするエネルギー自給率の達成状況と課題は。

 嘉数部長 県は13年度に策定した沖縄エネルギービジョンアクションプランで、20年度のエネルギー自給率の目標を7・9%としている。電力系統安定化や洋上風力発電の技術確立などが前提だったが、現時点でも技術確立やコスト面の課題解決に至っていない。このため18年度のエネルギー自給率は1・4%にとどまっている。

 

【基地問題】判決への対応「差し控える」

 

 照屋守之氏 名護市辺野古の問題で国との信頼を失っている。なぜ回復の動きをしないか。

 池田竹州知事公室長 新基地建設問題について政府との間で会議や面談を通じ対話による解決を求めてきた。県と政府は沖縄振興予算の確保や豚熱対策、新型コロナウイルス対策、首里城復興など多くの政策課題で連携し取り組んでいる。

 照屋氏 玉城デニー知事は衆院議員時代に米海兵隊施設の話があった高知県に視察したのか。

 玉城知事 かつてPKO訓練センターを設置する計画があったという情報を聞き視察した。計画がなくなった後だったので、誤解を招かぬよう「普天間飛行場を今すぐ移してという要請ではない」と付言していた。

 座喜味一幸氏 普天間飛行場の辺野古移設を巡って県としては裁判の判決に従う覚悟か。

 池田知事公室長 関与取り消し訴訟と抗告訴訟を提訴しており、予断を持って答えるのは差し控えたい。

 座喜味氏 従来は判決に従うと答弁してきた。

 池田知事公室長 一般論として司法の最終判断に従うことになろうと思う。