辺野古県民投票から1年 政府、民意無視し工事続行 膨らむ工費と工期


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県民投票から1年。名護市辺野古の新基地建設現場では、埋め立て用土砂の投入が続く=19日午後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、埋め立ての賛否を問うた県民投票から24日で1年を迎えた。投票総数60万5385票のうち、7割を超える43万4273票が「反対」だった。民意に反し、政府は工事を続けた。より鮮明になった政府の強硬姿勢は県内外の反発を招いている。

 玉城デニー知事は県民投票の結果を携えて政府に新基地建設の断念を迫ったが、政府は応じなかった。玉城知事は世論喚起に力を入れてきた。各地を講演して回る「全国キャラバン」を続け、昨年10月には訪米し、県民投票で示された民意を伝達した。

 県民投票後1年間も普天間飛行場の所属機は事故や不具合を繰り返した。政府は2019年末、辺野古新基地建設の総工費が9300億円、使用開始までに12年という試算を発表している。危険性除去までの時間が長引くとして普天間飛行場周辺の住民から反発の声が上がった。県は「膨大な予算を投じても、辺野古移設が普天間飛行場の早期の危険性除去につながらないということだ」と指摘し、辺野古移設と切り離した危険性除去を求めている。

 新基地建設を巡る政府と県の対立は法廷闘争に発展している。政府は3月にも軟弱地盤の改良工事を設計に組み込む変更申請を県に提出する見通しだ。変更に対して玉城知事の承認を得られなければ大浦湾側の工事を進めることはできない。玉城知事は応じない構えで、県と政府の対立は新たな局面を迎える。

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