街から外国人観光客の姿消える… 中国人客中心の旅行社は売上げほぼ「ゼロ」に 新型肺炎、経済を直撃


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外国人観光客の減少が見られる第一牧志公設市場=25日、那覇市

 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の感染が国内外で広がりを見せる中、19年度の観光客1千万人の目標達成が難しい見通しとなるなど、影響は沖縄県経済全体に広がっている。中国人客を中心に外国人観光客の旅行キャンセルが相次ぎ、観光事業者は売り上げを大きく落としている。中国から商品を仕入れる事業者は在庫の確保が難しくなり、感染が長期化した場合の事業運営に不安を募らせる。

 新型コロナウイルスの肺炎拡大で、中国人客を中心に受け入れる那覇市にある旅行社は売り上げがほぼ「ゼロ」の状態となり、事業継続の危機に陥っている。1日4台を稼働させていたバスツアーは、2月は週に2台ほどまで激減した。3月以降も売り上げの回復は見込めない状態が続く。経費の削減で苦境を乗り切る考えだが、同社の専務は「延命治療をしている状態だ」と厳しい環境を説明した。

 県の融資制度「中小企業セーフティネット資金」の活用も視野に入れるが、売り上げ回復が見込めない状況で新たな融資を受けることにためらいがある。同社の代表は「先行きが見えない中で借金をするのは厳しい。そもそも赤字が続く会社に融資してくれるのか」と苦しい胸の内を明かす。

 従業員は通常通り出勤しているが、影響が長引けば出勤日数を減らすなどの判断をせざるを得ないという。

 2~3月にかけて旬を迎えるホエールウオッチングも影響を受けている。県内旅行会社では、ツアーの予約数が前年に比べて3割減となった。外国人団体客のキャンセルもあるが、担当者は「国内客もコロナウイルス感染を懸念してキャンセルする人がいる」と指摘する。

 別のマリンレジャー業者では、ホエールウオッチングの予約状況が例年の半分程度になった。担当者は「1月は予約率が120~130%で順調だったが、今ではコロナウイルスの影響で新規予約が伸び悩んでいる」と2月以降の不振にため息をついた。

 「元祖紅いもタルト」などを製造・販売する御菓子御殿(本社・読谷村)は、新型コロナウイルスによる旅行キャンセルが出始めてから土産品販売とレストランなどで、売り上げが前年比1割程度の減少となった。インバウンド(訪日外国人)に限れば中国人客を中心に2割程度落ち込んでいる。売り上げ減に伴い製造数量も減ったという。

 一方で、グッズ販売を行う名護店では中国から雑貨類の仕入れができない影響が出ており、現在は国内業者から仕入れられるか調査を進めている。担当者は「土産品に特化した業者ではなく、菓子メーカーとして地元客をより大事にしていく」と述べた。