在沖海兵隊のCH53E大型ヘリが読谷村のトリイ通信施設の西約1.3キロの海上に鉄の物体を落下させた問題で、海兵隊は26日、本紙の取材に対し、落下させたのは、地上の地対空ミサイルシステムを模した鉄製の標的だったことを明らかにした。重さなどは明らかにしていないが、戦車と同規模の大きさで、トリイ通信施設内に複数置かれている標的と同種類とみられる。
玉城デニー知事は同日、本紙などの取材に対し「度重なる事故ほど、県民に大きな不安を与えているものはない。非常に遺憾だ」と述べ、詳細を把握した上で抗議する考えを示した。
池田竹州知事公室長は同日の県議会定例会一般質問で「一歩間違えば県民の生命・財産に被害を与えかねず極めて遺憾だ」と述べた。1月25日のヘリ墜落や、2月12日の部品落下事故に触れ「約1カ月に3回も事故が発生し、米軍の安全管理体制や再発防止策に疑念を抱かざるを得ない」と指摘した。一方、県議会米軍基地関係特別委員会は3月4日の委員会で抗議決議の提案について協議する。
ヘリが所属する第1海兵航空団は25日の広報文で、原因究明まで物体のつり下げ輸送を停止すると発表した。一方、飛行自体は26日も継続している。
鉄製の標的は25日午後1時10分ごろ、トリイ通信施設から射撃訓練場に輸送中に落下した。機体につり下げられていて途中、機体が不安定な状態になったため意図的に落下させたという。航空法89条では「航空機から物件を投下してはならない」と意図的な落下を禁止しているが、米軍や自衛隊には適用されていない。
読谷村では2006年12月13日にCH53が吊り下げていた車両を海上に落下させる事故が発生している。当時は翌12月14日にトリイ通信施設の司令官が読谷村長を訪ねて謝罪した。今回の事故に関して米軍側は直接、読谷村などに謝罪しておらず、25日の広報文で「深刻に捉えている」と記載するにとどめている。
沖縄気象台によると、25日午後1時ごろの読谷村の風速は南南東の風5.4メートル程度で、強い風は吹いていなかった。