米軍の“安全確認”に疑問 軍事優先から見えることとは… 頼和太郎・リムピース編集長


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 落下物は戦車と同規模の射撃訓練用の標的だった。射撃訓練は航空機から地上にある物を目標と捉え、爆撃する。銃弾だけではなく、戦車を一発でつぶせる空対地ミサイルを用いた訓練も行われる。

 海兵隊は「投下前に周辺に船舶や民間人がいないことを確かめた」と説明している。安全の確認が取れれば落として良いわけではないが、機体に異常が及ぶ事態は数秒を争うものだ。非常に切迫した状況の中、本当に正しい安全確認ができたのか疑問だ。定められた以上の急カーブだったのか、風が強かったのか分からないが、つるしていた荷物が揺れて機体が不安定になったのではないか。現場では一刻も早く降ろしたいという気持ちで都合良く解釈し、説明している可能性がある。

 沖縄の基地の周りは住宅地だ。たまたま海上への投下だったが、地上に落下する可能性はいつでもある。住民に重大な影響を及ぼす事故が常に起こり得る沖縄は、危険が喉元に突き付けられている状態だ。

 飛行ルートの計画段階から軍事優先で、何をどのような手段で運ぶか、ヘリならばいつどこを飛ぶのかという計画に住民の安全という観点がゼロだったのではないか。米軍は沖縄の住民のすぐそばには常に迷惑施設が近くにあって、不安になったり命の危険にさらされていたりすることを意識すべきだ。