新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が、3月1日に解禁される2021年度新卒採用の就職活動に影響を与えている。企業主催の合同企業説明会や大学内の説明会が中止、延期を余儀なくされている。大学の就職支援担当者は「学生の情報収集が難しくなる」と懸念する。優秀な人材を多く集めたい各企業の人事部門も、学生との接触機会が抑制される中で、当初のスケジュール通り採用を進めるかどうか検討を迫られてきそうだ。
県内企業が主催する合同企業説明会では、3月1日の沖縄タイムス社、同2日のラジカル沖縄、同5日の琉球新報社が、それぞれ宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで予定していた説明会の中止を決めた。
同11日に開催予定だった求人おきなわは4月25日に延期し、3月18~25日に個別の企業説明会を提案する。
同社の担当者は「大事な時期であり学生に企業と出合う機会を提供したいが、万一体調を崩せばその後のチャンスも逃してしまいかねない」として、苦渋の決断だったと話した。
県外企業では大手就活サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが3月末まで、求人情報サービス大手のマイナビも3月15日までの合同説明会を中止した。
大学側も、琉球大は3月4、5日に開催予定だった学内合同説明会を中止した。担当者は「合説は幅広い情報が一気に集められる場だが、学生の情報収集が難しくなる」と話した。沖縄国際大も11~13日の学内合同説明会を中止。仲田哲二キャリア支援課長は「個別の説明会を増やして、リスクを抑えつつ情報を提供したい」と話す。
名桜大は県内の医療機関を招き、看護師を目指す学生らが参加する「病院説明会」を3日に予定していたが、中止した。沖縄大はリクナビのイベントにツアーで参加する予定だったが、中止となった。
企業にとっては例年6月ごろまでが採用活動のピークだ。マイナビ沖縄支社の勝又浩支社長は「採用スケジュールを遅らせることを検討する企業もあると聞いている」と指摘する。
ある県内企業の採用担当者は「柔軟に対応したいが、終息が見通せない。採用時期を遅らせてさらに感染が拡大したら元も子もない」と困惑した様子で話した。