絶対的権力にあらがう スキャンダル スターシアターズ・公開中


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 2016年というからごく最近起きた、激震級の実話スキャンダルの映画化。米国テレビ業界の帝王と呼ばれているFOXニュースのCEO、ロジャー・エイルズを、クビを言い渡されたベテランキャスターのグレッチェンがセクハラで訴えた。最初ロジャーは絶対的権力と恐怖政治で、いとも簡単に一蹴できると考えていた。

 案の定、なかなかグレッチェンに味方する人は出てこない。特に成功した女性キャスターたちは自分のキャリアが脅かされるようで声を上げにくかった。これがひと昔前なら、それこそ一瞥(いちべつ)もなく握りつぶされておしまいだっただろう。

 権力者はそれが既得権だとでも言うように権力を利用し、セクハラは受けた側が油断したからだ、どうしてもっと抵抗しなかったのだと平気で言われ、まるで被害を受けた側が悪いのだと思わされた。思ったんじゃない、思わされたのだ。

 なかなかハードなテーマを、風化させてなるものかと挑んだジェイ・ローチ監督と女優陣に拍手。特殊メイクでカズ・ヒロがアカデミー賞を受けた作品でもある。
 (スターシアターズ・榮慶子)