現金総額2億円超の落とし物…沖縄の拾得物が11年連続最多 2019年は18万4699件に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県警が2019年に取り扱った拾得物は18万4699件で、前年の16万8220件から1万件以上増加していたことが23日までに分かった。07年に拾得物法が改正されて以降、11年連続で過去最多を更新。取り扱い拾得物数は29万6097点、現金は2億1921万7176円に上り、それぞれ過去最多。空港や沖縄都市モノレールでの拾得物が年々伸び続けていることなどから、観光客数の上昇が大きな要因になっている。

 19年の拾得物取り扱い件数は、那覇空港関連が4万3467件で、15年の3万2515件から5年で約1万件増加した。モノレールでの取り扱い件数は5628件。15年の2074件から5年で約2・7倍に膨らんだ。沖縄都市モノレール社によると、届け出が多い駅は終着駅の那覇空港駅で約7割が傘。近年はOKICA(オキカ)などのIC乗車券の取り扱いが増加傾向にあり、中でも学生のカードが増えているという。無記名のカードは持ち主の判別が困難で、同社は記名を呼び掛けている。

 19年に拾われた現金は4万1855件。このうち約6割は「裸現金」の状態だった。1件当たりの最高額は383万1522円で、那覇市内で手提げバッグと一緒に拾われ、持ち主に返還された。4月には本島南部の路上で封筒に入った状態の109万円が拾われたが、持ち主が現れず3カ月後に拾った人に交付された。ミズオオトカゲ、ベンガルワシミミズク、リクガメなど580件の動物も拾得物として届けられた。

 県警は今後、取り扱いの多い署への人員増強や外国人の遺失物への対応、拾得物情報の電子データ化など対策を講じ、「世界水準の観光リゾート地にふさわしい行政サービスを提供できるよう対策強化を推進する」としている。

スーツケース、携帯、水着… 取得物の9割が那覇空港がらみ 豊見城署「毎日届く」

 

空港関連の拾得物が並ぶ棚=2月20日、豊見城署

 「毎日届く。多い日で1日に250点ぐらいだ」。豊見城署会計課の拾得物担当者は、積み上げられた拾得物の山を前にたじろぎもせず淡々と話す。同署の倉庫には棚いっぱいに拾得物を収納した紙袋が所狭しと詰め込まれている。

 2019年の豊見城署の拾得物取り扱い件数は4万6685件で県警全体の約25%を占め、統計開始以来、県警最多を更新中だ。管内に那覇空港を抱える同署の拾得物取り扱いは、空港関連だけで約93%を占める。拾得物はスーツケースや携帯バッテリー、ベビーカーのほか夏場は帽子やサングラス、水着、冬場はコートなどと多彩だ。

 豊見城署では遺失物法に基づき、保管期限を迎えた拾得物は随時処分している。携帯電話やカード類などの個人情報が入った物は廃棄処分。本や再利用が可能な物は毎月、県内の複数のリサイクルショップから見積もりを取り、売却処分している。

 19年に同署が売却処分した拾得物は約3万8千件で、売却額は約400万円に上る。同署管内で19年に拾われた現金420万円と合わせ、約820万円が歳入として県に納められた。
 (高辻浩之)