[日曜の風]想像力働かない政府 新型肺炎で休校


[日曜の風]想像力働かない政府 新型肺炎で休校
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 新型コロナウイルスの影響で、社会に多大な影響が出始めてきました。安倍首相が、全国の小中高校を春休みまで休校するように要請した木曜日の夕方、沖縄から東京へ向かう飛行機内のニュース速報でそのことを知りました。

 その瞬間に、いろんなことが頭をよぎりました。まず、自分の子どもたちのことです。うちには、中2娘と小6息子がいます。とても幸運なことに私の両親が同じマンションに住んでいるので、私が仕事で飛び回っていてもケアをしてくれる人がそばにいます。それでも、とりわけ、小6息子の卒業式はどうなるのだろうと、そのことがまず気になりました。

 それから少しして、働く親仲間のことが気になりました。これまでも、台風などのときに学校が臨時休校になると、それぞれができることを持ち寄って乗り切ってきたこともあります。

 しかし、今回はあまりに長い。ご近所に預けられる人もなく、休めない仕事をしていたり、休めるとしても休んでしまったらお給料が出なくなるなど、その影響は多大なものです。子どもだけでお留守番ができるとしても、食事のことなど気にかかることもあります。そして、おうちにいるのがしんどい子どもたちのことも気になります。

 そんなことを丸投げした政府は、金曜日になって学校の休校は各地で柔軟に判断してほしい、という見解を示しました。そもそも首相には、休校を要請する命令権はなく、強制力もありません。しかし、政府が発表するということは、各自治体を含めて右往左往する人々が出てくることに、想像力が働かなかったのだろうかと言わざるを得ません。

 こういう事態になると、リーダーシップが試されるということがよくわかりました。私も、2021年に開幕予定のラグビー新リーグの法人準備室の室長となり、このような事態が生じたときにどう対応すべきなのか、考えさせられています。

 最後になりましたが、ラグビーのことをするために、本コラムからも卒業となります。3年間、ありがとうございました。

( 谷口真由美、法学者)