「不当な関与」 沖縄県が係争委員会に申し出る方針 辺野古サンゴ許可の農水相指示で


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江藤拓農林水産相

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、7日、沖縄防衛局によるサンゴ類の移植許可申請について江藤拓農林水産相が県に許可するよう指示していた期限を迎える。7日は閉庁日のため、実質的には6日が期限となる。県は指示に従わず、30日以内に「不当な関与」として総務省の第三者機関・国地方係争処理委員会(係争委)に審査を申し出る方針だ。

 埋め立て予定地に生息するサンゴ類を別の場所に移植しなければ一部の工事を進められないため、政府側は県に強制的に許可させたい考え。係争委の審査を経て新たな法廷闘争に発展する可能性もある。

 移植許可を指示した農水相の文書は2月29日、県に届いた。7日以内に許可するよう求めている。「指示」は前回の「勧告」と異なり、法的拘束力があるため県側に義務が生じる。県は指示に従わない構えで、その場合30日以内に係争委に審査を申し出る制度がある。

 県は、埋め立て承認撤回を巡る裁判中であることを判断保留の根拠の一つにしている。県が勝訴し事業自体が中止となれば移植の必要がなくなるためだ。係争委に申し出る前に最高裁判決が出た場合、内容に応じて対応方針を再考する可能性も否めない。地盤改良に向けた大規模な変更が予定される中、環境に与える影響を想定できないというものも理由の一つだ。