台湾が女性総統を誕生させることができたワケ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【台湾】世界経済フォーラム(WEF)が各国の男女平等の度合いを分析して発表している「ジェンダー・ギャップ指数(GGI)」で2019年度、日本は過去最低の121位だった。政府は「すべての女性が輝く社会づくり」を掲げるが、国会議員に占める女性の割合が日本は約10%など、女性活躍社会にはほど遠い。男女共同参画の実現を目指す「県女性の翼の会」はこのほど、台湾研修を実施した。初の女性総統が誕生するなど女性の社会参画が目覚ましい台湾での学びを紹介する。

MICE施設で女性の雇用状況や働き方を学ぶ県女性の翼の会の団員ら=台湾

 不当な社会的束縛から女性を解放する女性運動が台湾で活発になった1990年代。活動の主導団体となったのは「婦女新知基金会」だった。男女の不平等の解消のために法整備などに尽力した。現在も女性の権利を阻害する法律や条例などの改正などに取り組む。

 同基金会の曽昭媛研究員は「法整備はもちろんだが、特に大切なのは法を決める場に男女が平等にそろっていることだ」と強調する。台湾は2005年、国会議員の定数の約3割を占める比例代表で半数以上を女性にする「ジェンダー・クオータ制」を憲法改正で定めた。曽研究員によると現在の国会議員の女性比率は38%で政府は2030年までに50%にすることを目標に掲げている。

 翼の会の小橋川まさ美さん(45)=宜野湾市=は「ここまで進んでいるとは思わなかった。国策として取り組んでいることに意識の差を感じる。日本も国任せではなく、自治体や企業レベルで積極的な女性登用が広がってほしい」と話した。

 「性差がない社会の実現には何よりも学校教育が大事だ」と語るのは、台湾国家婦女館の黄鈴翔副執行長。台湾では04年に「性別平等教育法」が施行され、学校の授業で男女平等問題や課題を学ぶ「性別平等科」が必修となった。「男女平等が当たり前なのだと幼少から意識付けることで、よりよい環境に導いていける」

 研修ではそのほか、台湾大学の婦女研究室や中琉婦女交流協会なども訪れた。

 翼の会の南風原早記さん(34)=那覇市=は「『これは女性がすることだ』という自分自身の固定観念を捨てることが、男女参画社会への一歩だと感じた」、島袋和さん(37)=沖縄市=は「台湾の女性の社会進出は、質の良い教育のたまものだと思った。日本はまだそこまで整っていないので、まずは自分ができることを考えたい」と話した。

(新垣若菜)