親しみやすい裁判所に 那覇家庭裁判所長 遠藤真澄さん


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「法律と自分で解決する事にやりがいを感じる」と語る遠藤真澄那覇家庭裁判所長=那覇市樋川の那覇家庭裁判所

 「法律や裁判について分かりやすく説明できる“法律が分かる隣のおばさん”になりたい」。那覇家庭裁判所長の遠藤真澄さん(60)=那覇市出身=は、裁判所所長を務めながら、自身も裁判官として活躍する。

 琉球大学法文学部に入学し、司法試験に向けて勉強を始めた。「法律を勉強するからには、最難関と言われている司法試験に挑戦したかった」。受験勉強中は、県外との情報格差に直面した。「暗中模索の状態で勉強していた」と振り返る。卒業後上京し、2年間の受験勉強を経て、1986年に法曹界に入った。

 医療過誤や少年事件などさまざまな裁判を担当した。非行を繰り返す少年の裁判では、少年の将来を考えながら審判した。「裁判官同士の話し合いでは、先輩でも対等。忖度(そんたく)はない。女性差別も全くない」と語る。

 裁判官1年目の時に長男を妊娠し、87年に出産した。仕事と子育ての両立は簡単ではなかった。子どもを寝かしつけた後、夜中に裁判資料を作成する日もあった。「ベビーシッターやお手伝いさん、使えるものは何でも使った」。子育てをしながら全国各地の地方・高等裁判所など計12回の転勤を繰り返した。

 現在は、成年後見制度の活用や、離婚後の面会交流をしやすい仕組み作りに取り組む。より住民が親しみやすい裁判所を目指し、若い人には「人生100年時代。何をするにも遅いことはない」とエールを送った。

(上里あやめ)

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