性被害誰にも相談せず56% 「あなたが悪い」と被害者が責められる アンケートで寄せられた被害者の声


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 「通学路で後ろからスカートをめくられた」「エレベーターで胸を触られた」「取引先との食事会でホテルに誘われた」―。琉球新報が実施したアンケートでは、多くの女性が幼少期からさまざまな場面で痴漢やセクハラの性被害に遭っている実態が明らかになった。被害を受けた女性の約56%は誰にも相談しておらず、我慢して泣き寝入りしている。回答した女性たちからは「あなたが悪い」と被害者が責められる風潮への疑問や、男性側の意識改革などを求める声が上がっている。

 30代の女性は大学生の頃、ノースリーブとハーフパンツで歩いていたところ、知らない人にいきなり写真を撮られた。親に話すと「そんな格好をして歩くあなたが悪い」と予想もしない反応だった。当時は「私が悪いんだ」と思い込んでいたが、今は「好きな服を着て歩いていただけ。写真を撮った人は悪くないのか。おかしい」と被害者を責める風潮に疑問を抱く。

 被害への対応は「我慢してやり過ごした」が240人(複数回答)と最多で、「逃げた」は141人(同)、「その場で抗議した」はわずか67人だった。50代の女性は、露出度の高い女性のカレンダーを職場で飾る男性職員を注意した。男性は「お前の体を見ているわけじゃないからいいだろう」と開き直って周囲の男性たちに賛同を求め、結局は注意した女性が孤立してしまったという。「男同士でお互いをかばい合っている」と加害者意識の低さを問題視する。

 メディアで性的な嫌がらせを感じる人も多い。「漫画で女風呂をのぞくシーンやハプニングで女性の裸を見てしまうなど、女性に対する性被害が日常表現の中にちりばめられている」と、ゆがんだ性の情報をメディアが発信していることへの指摘もあった。

 また「家事や育児は女の仕事」といった性別役割分業や夫婦同姓、学校の男女別名簿など、日常生活のあらゆる場面での性差別に対し根本的な意識改革を求める声も寄せられた。

(豊浜由紀子)

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