32軍壕の保存提言へ 有識者ら 会結成へ会合重ねる


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第32軍司令部壕(資料写真)

 首里城地下にある日本軍の第32軍司令部壕の保存、調査を求める有識者らが会を立ち上げ、沖縄戦の実相を伝える遺構として保存するよう県や国に提言することが7日、分かった。垣花豊順琉球大名誉教授らが呼び掛けて1日に第1回会合を開いており、焼失した首里城正殿などの再建が始まる前の早い段階で提言をとりまとめる方向で議論を進める。

 会の名称は「第32軍首里城地下壕の崩落防止・開放を実現する会」とする予定。垣花さんらはこれまで司令部壕の公開を求めていた。一方、県は崩落の危険性があることや酸素の欠乏などから、一般公開は困難視している。

 そこで同会は遺骨収集や不発弾処理、遺構の保存を当面の目標に掲げる方針。沖縄の象徴としての首里城と合わせて、沖縄戦の実相を伝える存在として司令部壕を生かし、平和教育などに役立てたい考え。8日の第2回会合で方針を固める。垣花さんは「地下壕には何千という遺骨があるという。だからこそ開放しないといけない。地下壕の存在をあいまいにせず、正殿を建てる前に考えるべきだ」と強調した。

 第1回会合では、1996年に県の第32軍司令部壕保存・公開検討委員会の委員長として公開を決めた名桜大前学長の瀬名波栄喜さん、元県知事公室長の高山朝光さん、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんらが出席した。