有識者、防衛省判断を追認 辺野古軟弱地盤の改良工事 外部から問題指摘を退ける


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 【東京】名護市辺野古の新基地建設を巡り、防衛省が軟弱地盤の改良工事に向けて設置した有識者による「技術検討会」が11日、省内で開かれた。水面下70メートルより深い地点の地盤の軟弱さを示すデータの存在が発覚し、有志の大学教授らでつくる調査団が問題点を挙げて厳正審査を求めているが、技術検討会の委員らはこれらの指摘を退ける形で、防衛省の判断を妥当とする見解を示した。

 立石雅昭新潟大名誉教授を中心とする調査団は今月2日、沖縄防衛局を通じて技術検討会の委員に7項目の質問書を提出。軟弱地盤が水面下90メートルに達するとされる地点「B27」について、土質の異なる別の3地点から強度を推定し「非常に硬い」と結論付けた防衛省の調査を疑問視した。

 11日の技術検討会では、質問書の各項目について直接回答しないことを確認した上で、質問書でも指摘されたB27の地盤強度などに関する論点が議題となった。防衛省がB27で地盤強度を確かめるボーリング調査を実施する必要はないとの従来の見解を示したのに対し、委員らから「広範囲で地盤調査が行われている」などとして、追加調査は不要との意見があった。

 一方、B27では沖縄防衛局の委託業者が強度試験を実施していたが、防衛省は採取された土のサンプルに乱れがあるとして、設計に用いるための強度を計算するには不適当とした判断を委員に説明。委員らはデータの信頼性が低く「設計に採用するべきではない」などと助言したという。

 防衛省は別の有識者会議「環境監視等委員会」を含む二つの会議での議論がまとまり次第、軟弱地盤改良に入るための設計変更を県に申請する。