【ドイツ】心にいつも故郷 南城出身重島さん、国立歌劇場で活躍


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ドイツで活躍中のオペラ歌手、重島清香さん

 ワイマール憲法で有名なワイマール市はゲーテが長く住んでいた町でもある。そして、シラーもまた友人のゲーテの勧めでこの町に移り住んだ。町の中心の広場には、2人の大きな銅像が建っている。その後ろの国民劇場は、ワイマール憲法が採択され、ゲーテとシラーの多くの戯曲が初演された歴史ある建物だ。その歴史ある建物で活躍する南城市出身のオペラ歌手がいる。メゾ・ソプラノの重島清香さん(37)だ。

 重島さんは、小禄高校2年生の時に県立芸術大学のピアノ科を目指したいとピアノ教師、國仲美禧子氏に相談したところ、入学試験準備のため声楽のレッスンを受ける必要があるとソプラノの外間三枝子氏を紹介された。レッスンが始まって間もなく歌う楽しさのとりこになり、県立芸術大声楽専攻へ入学、大学院声楽専修まで進んだ。在学中は小池哲央教授に師事し、卒業後に渡独。ミュンヘン音楽・演劇大学に入学し、ヨゼフ・ロイブル教授のもとでさらに研さんを積んだ。

 卒業後、ロイブル教授の勧めで受けたワイマール国立歌劇場の専属歌手採用試験に合格。以来8年間メゾ・ソプラノ歌手として、「蝶々夫人」のすずき役、「ヘンゼルとグレーテル」のヘンゼル役、「タンホイザー」のヴィーナス役など数々のオペラに出演した。

 そして、2021年5月15日、ビゼーの「カルメン」プレミアの主役に抜てきされている。ドイツの歌劇場の専属歌手は1年契約で、15年連続更新を経て初めて永久雇用となる。毎年契約を更新し続けるのはかなり厳しい。それを9年も更新し続けていることは、彼女の実力が認められているということであろう。

 オッフェンバッハ作曲「ホフマン物語」を鑑賞した。ムーゼとニクラス役を歌った重島さんのすばらしい歌と堂々とした演技力に感動した。これからの活躍が非常に楽しみである。

 いつも沖縄のことが気になり、海が恋しくなるという重島さん。冬の寒さが在独12年になってもこたえるという。はにかみながら「やっぱり、いつか沖縄に帰りたいです」。そんな言葉が印象的であった。
 (外間久美子通信員)