防災、資材調達… 首里城復元で委員から出た意見とは 報告書を読み解く


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
高良倉吉委員長(左)から報告書を受け取る内閣府沖縄総合事務局の吉住啓作局長=17日午後、那覇市おもろまちの沖縄総合事務局

 「首里城復元に向けた技術検討委員会」(高良倉吉委員長)は17日、内閣府沖縄総合事務局に報告書を提出した。報告は3回にわたる同委員会の会合と、「彩色・彫刻」「防災」「木材・瓦類」の三つのワーキンググループ(WG)の、それぞれ2回にわたる議論の中で、委員から上がった意見を基に高良委員長がまとめた。報告では「各委員からの主な意見」として添付された内容を中心に各WGでの議論や委員の意見を紹介する。

「スプリンクラーは必須」電気設備管理徹底も指摘 防災WG

 防災ワーキンググループ(WG)では、今回の火災を踏まえた防火対策の強化について議論し、委員らは初期消火を徹底するためにスプリンクラーの設置は必須だとの認識で一致した。出火原因は特定されなかったが電気系統の可能性が高いことから、電気設備の管理を徹底するとともに、木造建造物には大容量のものを置かず、経年劣化に適切に対応することなどが重要だとの意見が出た。

 首里城の城郭内に消防車両が進入できず、城郭周囲から消防隊が送水管を長距離延長したため放水開始までに時間を要した。このため消防隊が迅速に消火活動を開始できるよう、一般的な高層ビルにあるような連結送水管設備を城郭内にも設けるのはどうかとの意見が上がった。

 新たに連結送水管設備を設ける際には、地下遺構を傷めないよう既設の配管部分を活用して設計・施工することも提案された。

 延焼の拡大を防止するための対策については、建物と建物の間に防火シャッターを設けるなどの措置を検討すべきだとの声があった。文化財の防火対策について、建物ごとの被害状況や被災した収蔵品の状況も踏まえ、県や関係機関と連携して文化財の防火対策の検討を求める意見が出た。

首里城正殿使用でヒノキ市場調査を提言 木材・瓦類WG
 

 木材・瓦類ワーキンググループ(WG)では、首里城正殿で使用する大径材(最小径が30センチ以上の丸太)について、前回復元時にタイワンヒノキの無垢材を使用したが、今回は調達可能性を考慮し、国産ヒノキを中心に、カナダヒノキや調達可能であればタイワンヒノキも含めて市場調査を実施すべきだと提言した。

 委員からはタイワンヒノキについて「伐採規制や、国際的な環境問題への関心の高まりを考慮すると、今回の復元に使用することは難しいのではないか」などの意見が出た。前回使用したチャーギ(イヌマキ)やオキナワウラジロガシについては焼失前の首里城で使われていたと推定されることから「活用することが望ましい」としたが、希少材であることから調達可能性の調査を求める声が上がった。

 瓦類については、関係機関との連携で沖縄本島産の材料を調達し、県内に蓄積、継承されている伝統技術の活用を図るべきだとの認識で一致した。委員からは「赤瓦の製造は県内業者で可能ではないか。瓦葺(かわらぶき)の修復も県内の職人で対応しており、こうした技術をしっかり活用すべきだ」との意見が上がった。

前回と同様で中国産漆の使用を確認 彩色・彫刻WG
 

 彩色・彫刻ワーキンググループ(WG)では漆の調達や、彩色・塗装工事、彫刻の制作・施工などの検討で、前回復元時の設計スケジュールを見直す必要がある事項を議論した。

 漆については、日本産の漆の生産量が少ないことから、前回の復元時と同様に中国産の漆を調達し、正殿の復元などに使用することを確認した。

 首里城正殿の塗り直し工事の際、安定した塗膜を形成するための漆の調合方法が分からず苦労した。漆の品質確保のためには沖縄の気候の特性や、首里城が城郭に囲まれ風が強い立地特性も踏まえ、現地で試し塗りを行い、漆の調合方法を検討するための試作期間を1、2年程度設けるべきだとの意見があった。

 赤色顔料の一種のベンガラについては、他の材料と同様に前回復元時の方針を踏襲しつつ、その後の研究で新たな知見が得られた「久志ベンガラ」の使用の可能性を検証する必要があるとの意見があった。

 彫刻類に使用する木材についても、歴史や市場性、加工性などを踏まえて検討すべきとの意見が出た。