〈42〉パーキンソン病 高齢で多く、早めに相談


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 動作が遅くなる、転びやすい、手足が震えるなどの症状を年のせいだと思っていませんか? その症状、パーキンソン病かもしれません。

 パーキンソン病は、脳の神経細胞に異常が起こり、体を動かすときに神経に命令を送る物質ドパミンが不足し、動きが遅くなる、転びやすくなる、手足が震える、筋肉がこわばるなどの症状が現れます。

 高齢で発症することが多く、60歳以上に限ると100人に1人がかかるといわれており、国内におよそ15万人の患者さんがいるとされています。これは人口10万人当たり100~150人になり、糖尿病が人口10万人当たり400人、虚血性心疾患が100人、悪性新生物(がん)が80人といわれていることと比較しても決してまれな病気ではありません。

 かつては発症して10年で寝たきりになるといわれていましたが、治療が進歩した現在では早い段階から専門医による治療を続けることで、長期間良い状態で過ごせるようになっています。それだけに早期発見と早期治療が大切です。

 治療は、不足したドパミンを補う薬物療法を中心に、リハビリテーションを行うことが大切です。パーキンソン病の患者さんは体が思うように動かせない、転びやすいことから運動不足になりがちですが、動かずじっとしていると体力が低下して関節や筋肉も硬くなり、ますます体が動かせなくなります。

 日常生活に支障が生じていない段階からリハビリテーションを行うことで、身体機能の低下を防ぎ、体を動かしやすい状態に維持できます。

 また最近の研究で、便秘、においが分からない、気分の落ち込み、大声の寝言などの症状が先行して出てくる場合があることも分かってきました。

 動作が遅い、手足が震えるなど気になる症状が続いており、かつこれらの症状も伴っている場合は「年のせい?」と判断する前に、医師に相談することで、病気の早期発見につなげることができます。

(花城清祥 ねたて内科クリニック・脳神経内科、内科)