【東京】水道水の基準値などを決める厚生労働省の厚生科学審議会生活環境水道部会が23日、同省で開かれ、県内でも高濃度で検出されている有機フッ素化合物(PFAS)のうち、PFOSとPFOAを合計した水道水の暫定目標値を1リットル当たり50ナノグラムと決めた。4月1日から適用する。同省が行ったパブリックコメントでは、より厳しい目標値を求める声や、2物質以外も対象に含めるよう求める声が寄せられたが、同省は現段階で見直す考えはないとした。
PFOSなどに関する国レベルの目標値では最も厳しいものになるという。
パブリックコメントでは他の物質の基準値についても含めて、5229件の意見があった。厚労省は数が多いため「内訳は数えない」としたが、PFOSなどの目標値について厳しい声が多かったという。
このうち、PFOS、PFOA以外も規制の対象にすべきだとの指摘や、米国の州では50ナノグラムより厳しい目標値を設定している所もあるとの指摘に、厚労省は「これらの目標値を設定するための科学的知見が十分に蓄積していない」との見方を示した。現段階でより厳しい目標値にすることは否定したが「(毒性評価が)国際的にも大きく動いており、国内外のリスク評価機関がまとめた情報などを注視していく」と説明、WHOなどの動向を踏まえた今後の見直しには含みを持たせた。委員からは、県内の米軍基地周辺から高濃度で検出されているにもかかわらず、基地内の立ち入り調査ができていない現状から「(浄水の)現場の苦闘が続いている」として、目標値より厳しい水質基準に引き上げるよう求める声があった。