1カ月余、沖縄県内発生が確認されていなかった新型コロナウイルス感染による肺炎患者が23日、発生した。患者は外国籍の20代男性で、渡航先のベルギーで感染したとみられている。20日にスペイン旅行から帰国し沖縄に移動した10代女性の感染も成田空港検疫所で陽性反応が出たばかり。3月に入ってヨーロッパや米国など国外の感染が爆発的に増える中、県も国外・他県からの流入に危機感を示す。観光関係者にはホテル従業員の感染を受けたホテル業への風評被害に対する懸念も高まっている。
那覇市内のホテルに勤める20代男性が新型コロナウイルスに感染したことが分かった23日、県内のホテル関係者からは風評被害を懸念する声や、冷静な情報収集を求める声が上がった。
県ホテル旅館生活衛生同業組合の宮里一郎理事長は「沖縄のホテル従業員で感染が出たとなると、観光業界に影響が出るだろう」とホテル業をはじめバス、タクシー、小売業など観光関連業者への影響を懸念。「今後、休業するホテルが増えるかもしれない。風評被害につながる恐れもあるので、右往左往せず冷静に医療関係者と連携したい」と話した。
ホテルパームロイヤルNAHAの高倉直久総支配人は「観光業から感染者が出たとなると先行きが不安だ」と述べ、「ホテルで感染が起きると旅行にも行けなくなる。さらに徹底してウイルスの防止対策をやるしかない」と話した。
恩納村のホテルの総支配人は「ここ1週間は地元客や国内市場が動きだして、ホテルの稼働率が上がってきている。ホテル従業員に情報がフォーカスされると、また(需要の)回復に時間がかかる」と懸念した。
沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「感染者が出たのは残念だ。改めて感染防止対策の強化を呼び掛けたい」と強調。今回の感染者が勤務するホテルの対応を受けて「保健所の指導を受けて施設の対応を強化するなど、一連の対応を公表することで利用者の安全を得ることにつながる」と話した。