「ジュゴン、深刻な影響」沖縄県知事が米政府と米軍に書簡 辺野古断念求める


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名護市辺野古の新基地建設現場

 玉城デニー知事は24日、米政府と米軍に対し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を断念して代替案を探すことを求める書簡を送った。基地建設工事が続く大浦湾で日本の天然記念物ジュゴンが確認されなくなっていることなどを伝え「辺野古・大浦湾は軍事基地に適した場所ではない」と訴えている。

 大浦湾に広がる軟弱地盤などについて調査することも要請した。

 玉城知事は書簡で、2015年1月以降はジュゴンが大浦湾で確認されていないことなどを説明し「深刻な影響を与えている」と指摘した。基地建設・運用は「ジュゴンに悪影響は与えない」と判断した防衛省と米国防総省の結論と現状は「相反する」と批判した。

 科学者らでつくる米国のNGOが辺野古・大浦湾一帯を世界的に重要な海域「ホープスポット」に選んだことも強調した。軟弱地盤があるため、政府が砂などのくい約7万1千本を海底に打ち込む改良工事を検討していることを踏まえ「生物多様性豊かな環境に取り返しのつかない悪影響を与える」と訴えている。

 県は18年4月、他国の文化財も保護するよう定める米国家歴史保存法に基づいてジュゴンへの影響について「利害関係者」である県と協議するよう求める要請書を送った。だが、その後、米側から音沙汰もなく工事が続けられていることから24日、改めて書簡を送った。宛先は米国防長官と米インド太平洋軍司令官、在日米軍司令官、在沖米四軍調整官。