米軍機地を県外・国外に 万国津梁会議が知事に提言書


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沖縄県内の米軍基地の整理、縮小を検討する「万国津梁会議」の柳沢協二委員長(左)から提言書を受け取った玉城デニー知事=26日午後、那覇市

 県が有識者の意見を政策に反映させるために設置した「米軍基地問題に関する万国津梁(しんりょう)会議」(柳沢協二委員長)は26日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に固執せず在沖米軍基地を県外・国外へ分散することで段階的に整理縮小させるべきだとする提言書を玉城デニー知事に手渡した。提言書を受け取った後、非公開の意見交換の場で玉城知事は全国を巡るトークキャラバンを米国でも開催したい考えや、提言書を携えて菅義偉官房長官に直談判したい考えを示したという。

 柳沢委員長は「(提言の内容は)容易なことではないと思うが、ぜひ知事の方で政治的に使ってほしい。手伝える点は手伝いたい」と期待した。玉城知事は「できることはすぐにでも取り入れたい」と語った。

 意見交換の場では万国津梁会議の2020年度の活動として海兵隊の戦略変更や日米地位協定の問題について議論を深める方針も確認した。地位協定については全国の自治体が抱える課題や独自の取り組みを調べて政府交渉や世論喚起の材料とする。

 提言書は日本・米国・沖縄の有識者からなる専門家会合を設置して普天間飛行場の危険性除去を含む沖縄の基地負担軽減について議論することを提案している。20年度以降、万国津梁会議として米国や県外でのシンポジウムを実施しながら専門家会合の構想を具体的に検討したい考え。

 提言書は米軍普天間飛行場の危険性を除去する方法として長い期間かかる名護市辺野古移設は現実的でないと指摘している。米軍が部隊も分散を重視していることを説明し、在沖米海兵隊基地を県外・国外へ分散移転することが合理的だとした。長期的な展望として沖縄の米軍基地をより縮小していける環境をつくるため、アジア太平洋地域の緊張緩和・信頼醸成が課題だとしている。「沖縄が地域協力ネットワークのハブ(結節点)になることを目指すべきだ」と訴えた。

 提言書は県ウェブサイト(https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/chijiko/kichitai/bankokushinryou1.html)で見ることができる。今後、英訳される。