「いい判断」「今更言われても」 春休みを直撃した沖縄県の旅行自粛に評価と困惑の声


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閑散とする那覇空港国際線ターミナル

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、玉城デニー知事が県外への旅行の自粛を呼び掛けたことに対し、県民から「いい判断だ」と評価する声がある一方、県外ツアーを企画する旅行会社の担当者らは「厳しい状況だ」と窮状を訴えた。沖縄に支社がある大手企業の中には既に出張や会議を減らすところもあるなど、さまざまな面に影響が広がっている。

 4月から東京の大学へ進学を予定している砂川愛音さん(18)=那覇市=は「これ以上の感染拡大を防ぐためにはいい判断だと思う」と評価する。だが、首都圏で感染者数の増加に歯止めがかからないことから「いつ収まるのか。1カ月分ほどのマスクや消毒液などを沖縄で調達したい」と不安げに語った。

 那覇市の商業施設に家族で買い物に来ていた吉田圭乃さん(15)=豊見城市=は春休みに家族で県外への旅行を計画しており、「今更言われても困る」と困惑の表情を浮かべた。

 自粛呼び掛けの影響が直撃しているのは旅行会社や航空会社だ。ジャンボツアーズの担当者は「最近は春休みの学生の旅行需要で新規予約も入り始めていた。呼び掛け以降、またキャンセルが出てかなり厳しい状況だ」と頭を抱える。

 ANA沖縄支社の出口寛総務課長は「航空会社としては飛行機に乗ってほしいが、『気にせず乗ってください』と言える状況でもない。感染症対策として(旅行自粛の呼び掛けは)やむを得ない」と話した。

 第一生命保険は3、4月の全国会議をウェブ会議に切り替えた。那覇支社も例年4月に県内14オフィスの職員が一堂に会していたが、今年はウェブ会議で対応し県外出張も基本的になくしている。本夛光一郎支社長は「移動時間を短縮できるので、その分を研修や他の業務にうまく使っていきたい」と話した。