【記者解説】権限封じ込めに対抗 辺野古サンゴ移植で沖縄県が係争委申し出


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に必要な小型サンゴ類の移植許可を巡って玉城デニー知事が総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)に審査を申し出たのは、同じ内閣で一体となって手続きを行い、知事権限を封じ込めようとする政府への対抗措置だ。埋め立て承認撤回を取り消した国土交通省の決定を巡って係争委は県の申し出を門前払いとしたが、今回は内容を審査する公算が大きい。

 2019年に撤回取り消し決定について県が係争委に審査を申し出た際は、国交省の決定が係争委の判断対象外となる「裁定的関与」に当たるかどうかが争点となった。撤回取り消し決定は沖縄防衛局による行政不服審査請求に応じる形でなされていたためだ。その結果「裁定的関与」と判断されて門前払いとなった。

 一方、今回問題となっている農林水産省の是正指示は地方自治法にのっとったもので、不服なら係争委に審査を申し出ることが想定されていた。その「ルート」が同法に明記されているため、審査対象になると判断される可能性が高い。

 県の弁護団によると、農水省は県の審査を急ぐように求めるだけにとどめることもできた。だが、サンゴ移植の許可まで求めており、県の責任で審査する内容に踏み込んだとして県は問題視している。この点も踏まえ審査の中で違法性を主張するとみられる。
 (明真南斗)
 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に必要な小型サンゴ類の移植許可を巡って玉城デニー知事が総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)に審査を申し出たのは、同じ内閣で一体となって手続きを行い、知事権限を封じ込めようとする政府への対抗措置だ。埋め立て承認撤回を取り消した国土交通省の決定を巡って係争委は県の申し出を門前払いとしたが、今回は内容を審査する公算が大きい。

 2019年に撤回取り消し決定について県が係争委に審査を申し出た際は、国交省の決定が係争委の判断対象外となる「裁定的関与」に当たるかどうかが争点となった。撤回取り消し決定は沖縄防衛局による行政不服審査請求に応じる形でなされていたためだ。その結果「裁定的関与」と判断されて門前払いとなった。

 一方、今回問題となっている農林水産省の是正指示は地方自治法にのっとったもので、不服なら係争委に審査を申し出ることが想定されていた。その「ルート」が同法に明記されているため、審査対象になると判断される可能性が高い。

 県の弁護団によると、農水省は県の審査を急ぐように求めるだけにとどめることもできた。だが、サンゴ移植の許可まで求めており、県の責任で審査する内容に踏み込んだとして県は問題視している。この点も踏まえ審査の中で違法性を主張するとみられる。
 (明真南斗)