緊急事態宣言「自粛なら休業補償を」「1~2カ月が大事」 迅速対応求める経済界


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新型コロナウイルス感染拡大で閑散とする那覇市の国際通り=5日午後、那覇市

 安倍晋三首相が6日、東京都や大阪府、福岡県など7都府県を対象に緊急事態宣言を発令する方針を表明した。GDPの2割に当たる108兆円規模の経済対策も実施する。人の移動などが大幅に減少し沖縄経済にも影響を及ぼす可能性がある。県内経済界からは、企業存続や雇用を守るための強力な対策を求める声が上がった。

 県内企業からは、売り上げが激減する中で家賃など固定費への助成などを求める声が強くなっている。沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は、108兆円という経済対策の規模に「政府も思い切った数字だと思う。県内は中小企業が多く、この1~2カ月が企業存続にとって一番重要な時期になる。できるだけスピーディーに現場に届けられるようにしてほしい」と話した。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「感染が全国に拡大する中で、すでに観光客は減少している。政府が緊急事態宣言を出せば旅行目的の来県はさらに減るだろう」と見通しを示す。

 その上で感染拡大防止を優先する重要性について「感染を食い止めることが次の観光産業を活性化させるための最重要課題だ」と強調した。

 一方で、観光客の減少、外出自粛などで客が激減している飲食業界。県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は「日に日に休業する店が増えている。感染拡大を防ぐために外出自粛がやむを得ないのは理解できるが、それなら休業補償をしてほしい」と要望する。組合は14日に緊急対策会議を開き、国や県への陳情をまとめる予定だ。

 県建設業協会は7日に幹部会議を招集し、緊急事態宣言が発令された場合の業界の対応を協議する。下地米蔵会長は「生産の停滞によって、建築資材の物流が滞ると工事が進まなくなる。工期の延長などを要請する必要がある。他府県の協会とも連携して対応したい」と話した。

 JAおきなわの普天間朝重理事長は、流通や観光客の減少による農畜産物の需要減少と価格低下を強く懸念する。農業は一時休業できず、作物の収穫や出荷を止められないことから、農家経営に大きな打撃を与えることを心配する。「生産現場の不安を払拭(ふっしょく)し、迅速で効果的な対策を中長期的に講じるよう県に要請する」と話した。

 県工業連合会の古波津昇会長は「工業にもじわじわ影響が出てくるだろう。1年後も状況が変わっていないことも想定しないといけない。国の緊急融資制度や地銀の支援などを会員に周知していく」と話した。

 県経営者協会の金城克也会長は「県民生活に大きな支障を来さず、産業経済活動への影響を最小限にとどめるための取り組みを国、県に求める。経済界としても迅速な対応をしていきたい」とコメントした。