緊急事態宣言「今は耐える時期」 沖縄出身者ら不安と戦う


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言が7日夜、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に出された。対象となった地域で暮らす県出身者らは感染拡大への不安をにじませつつ、「早期に終息を」と願った。

 石垣市出身の山田ちづこさん(70)は、さいたま市でカフェを経営する。7日夜、緊急事態を宣言した安倍晋三首相のテレビ中継を見詰めた。店では自宅待機の子ども向け教室を開催していたが、緊急事態宣言を受けて4月も開催するか悩んでいる。ランチで沖縄料理を出していた。「客は減っているが7日もきてくれた。宣言の影響は見守っていきたい」

 福岡沖縄県人会の知念稔会長(65)は「福岡は病床数が足りていない」と不安を隠せない。自身が経営している会社では直行直帰を促し、会議も書類で済ませるように簡易化した。「外出しないなど、できることをするしかない」と早期の終息を願った。

 各地の県人会などはイベントなど主催事業の軒並み中止を決めた。八重山郷友連合会の多宇邦雄会長(77)は千葉県成田市に暮らす。4月の八重山まつり、5月のソフトボール大会を中止にした。「こんな状況は初めてだ。各郷友会では舞踊の練習もできないようで、精神的な影響が気になる」と漏らした。

 沖縄県人会兵庫県本部は既に総会や花見など当面の行事を全て中止した。具志堅和男会長(73)は5月の沖縄旅行を見送り「政府や県は収束へ力を出してほしい」と求めた。

 東京沖縄県人会の仲松健雄会長(68)は、5月に計画していた東京五輪関連公式行事・沖縄芸能フェスティバルの延期を決めた。「県出身者の楽しみのイベントも中止でとても残念。だが降り続ける雨はない。今は耐える時期だ」と我慢を決めた。

 川崎沖縄県人会(神奈川県)の比嘉孝会長(72)は「県人会館にはマスクや消毒薬がないかと問い合わせが来る。足りないと困っている人が周りにいっぱいいる。会員はお年寄りが多く、感染すると大変なので皆注意している」と気が休まらない。

 大阪沖縄県人会連合会副会長の山端立昇さん(80)は「シーミーで沖縄に戻った人も帰って来れるか。(宣言で)危機感がない人も外出しないよう意識を変えるきっかけになる」と前向きに捉える。