和牛など授精業務、スマホで管理 県畜産公社などシステムを試験導入


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 県畜産振興公社と県家畜改良協会は2020年度から、スマートフォンを活用して家畜人工授精師の授精業務を管理するシステムを試験的に導入する。書類管理の徹底や業務負担の削減につなげる目的がある。和牛のDNA不一致問題が相次いだ久米島町と本島中南部の人工授精師約5人で試験し、数年後に本格導入を目指す。

 人工授精師は種付けする際、母牛や精液の情報などを書き込み、授精証明書を発行する。全て手書きで30分ほど掛かるため、記入を後回しにする授精師も多い。授精証明書は即日発行が望ましいが、雨や牛舎で記入する場所がないという現場の事情もあって後日発行されるケースも散見されるという。

 試験導入されるシステムでは、人工授精師にスマホと持ち運び可能なプリンターを配布する。種付け前に母牛の番号を入れると、母牛の血統情報や前回の種付け日、生年月日などの情報が確認でき、牛の取り違いを防げる。種付けした精液のラベルに記載された番号を打ち込めば、プリンターから授精証明書が発行される。手書きしていた時間を短縮でき、業務負担を減らせる。

 前回の種付け日も確認できるため、繁殖期に複数回種付けを行っていないか確認できる。複数回種付けしようとした場合、エラー画面を表示し、授精証明書を発行できないようにすることも検討している。

 授精管理のデータは県畜産振興公社と県家畜改良協会に瞬時に共有される。血統矛盾などがあった場合に、追跡が可能となる。

 県畜産振興公社と県家畜改良協会は19年10月からシステム開発の計画を進めた。県畜産振興公社の本若隆副参事は「人工授精師の作業の負担軽減と経営向上を目指す。結果的に人工授精の作業ミスの防止にもつながるはずだ」と話した。