沖縄県内で新型コロナウイルスに感染し入院している患者が9日現在、39人に上り、患者が集中している本島中南部の医療機関で受け入れ体制が逼迫(ひっぱく)している。県内の指定医療機関の感染症病床数は計24床で協力医療機関と合わせて40~45床程度を確保しているが、中南部では飽和状態だという。那覇市医師会(山城千秋会長)は同日、「医療の緊急事態宣言」を発表、感染者が増え続けて病床が不足すると、入院が必要な他の疾病患者受け入れに支障が出るとして、病床の確保や軽症者・症状のない人を宿泊施設に隔離することを提言した。
玉城デニー知事は10日、指定と協力医療機関の院長らに感染症病床のさらなる確保へ協力を求めるとともに医療現場の課題などを聴き取る。
県は医療体制について発生早期から患者数の増加に合わせ4段階に分けて対応している。県の糸数公保健衛生統括監は今後、さらに新型コロナウイルス患者が増えた場合、指定・協力医療機関から新型コロナウイルス感染症以外の入院患者を周辺の一般病院などに移す対策を取る必要が出てくると説明。既にそうした措置が必要な第3段階に入りつつあるとの認識を示した。
さらに指定と協力医療機関の感染症病床数の拡充に向け調整を進めるとした。また、東京や神奈川などの先行事例を参考に、軽症者や症状がない感染者のホテル療養に向け、施設側と調整し、早めに確保したい意向を示した。
一方、市医師会の山城会長は9日の記者会見で県内で1日に12人の感染者が出た沖縄(人口約145万人)と1日に約120人の感染者が出た東京(人口約1400万人)を挙げ「県内の感染数は、人口比でみると東京と変わらない深刻な状態だ」と危機感を示した。
山城会長は「この2週間が勝負だ。県民には外出の自粛を強くお願いしたい」と訴えた。「医療の緊急事態宣言」では行政に対し、重症者の病床確保や軽症者・無症状患者への宿泊施設の用意、医療者用の宿泊施設用意―など7項目を求めた。同日、県と那覇市にも同様の提言書を提出した。