辺野古沖でジュゴンの鳴き声? 水中装置に録音 新基地現場近く


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名護市嘉陽沖で確認されたジュゴン=2008年3月(ヘリから撮影)

 【東京】名護市辺野古の新基地建設に伴う防衛省沖縄防衛局の調査で、建設現場近くの水中の装置にジュゴンとみられる鳴き声が録音されていたことが分かった。大浦湾内の海底で、いずれも祝日や休日で工事が行われていなかった今年2月11、23、24日に記録された。ジュゴンの鳴き声なら、この周辺で確認された痕跡としては2018年11月以来となる。

 防衛省が10日、辺野古の工事に関する有識者会議「環境監視等委員会」で報告した。委員会に先立ち防衛省が確認した海洋生物の専門家は、鳴き声について「ジュゴンの可能性が高い」と指摘。10日の会議では、委員から大浦湾内の深い場所でのえさ場調査を求める助言が出たが、工事中断を求める意見はなかった。

 沖縄防衛局はジュゴンの生息状況を確認するため、航空機による監視のほか、水中の鳴き声やえさとなる海草の食(は)み跡を調査している。ジュゴンは当初沖縄本島北部の海域で3個体が生息していたが、航空機調査では「個体C」と識別されるジュゴンは15年6月を最後に、「個体A」は18年9月を最後に目撃されていない。今帰仁村の古宇利島周辺にいた「個体B」は19年3月、同村の防波堤で死んでいるのが見つかった。

 大浦湾周辺の調査では、北側の嘉陽沖で18年11月に食み跡があったのが最後の記録になっている。【琉球新報電子版】