【北中城】沖縄県北中城村は、認知症や知的障がいなどで判断能力が不十分な人の生活支援をする成年後見制度について、利用者の相談窓口となる「中核機関」を県内で初めて設置した。設置したのは3月25日。家庭裁判所や法律の専門職との調整役も担うなど、円滑な制度の運用や手続きが可能となる。
中核機関は政府が2017年に定めた成年後見の利用促進計画で、17~21年度にかけて市区町村が設置する想定になっている。しかし、厚生労働省の18年の調査では全国の自治体で、4.5%の設置にとどまっていた。
北中城村では19年、成年後見制度の実態把握に向け、村民が利用する介護や障がい福祉事業所、精神科医療機関の137施設にアンケート調査を実施。その結果、69事業所から回答があり、そのうち「財産管理ができない」「診療契約が理解できず、利用が進まない」など、支援を要すると思われる該当者は139人に上った。高齢化などにより対象者の増加が見込まれる中で、該当者からは手続きの煩雑さや費用面などが課題として上がっていた。
同村は、制度利用者の所得に応じて、利用の申し立て時にかかる費用や後見人への報酬の助成を設け、利用者の経済的負担の緩和に努めている。中核機関の設置と同時に、弁護士会や社会福祉会、精神保健福祉士協会などと連携した「協議会」を設置し、定期的な支援会議を開き、地域連携ネットワークの強化を図る。今後は、中核機関の窓口となる村福祉課や村社会福祉協議会内にある権利擁護支援センターで相談対応する。
福祉課の喜納啓二課長は「支援体制を強化し、サポートしていきたい」と語った。