新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言で、沖縄を含めた全都道府県が16日、対象地域に指定された。今後、玉城デニー知事が感染症対策に向けて休業要請など沖縄県における措置を発表する予定で、県経済は一層の停滞を余儀なくされる。休業店舗の拡大など全産業へと影響の連鎖が見込まれる中、事業者でつくる団体は一定の理解を示しつつ早期の補償も求める。さらなる航空減便による物流停滞なども見込まれる。
<観光・航空>
主力産業の観光業界は観光客数の激減によりホテル、旅行社は収入が落ち込んできた。県の来県自粛要請や首都圏の緊急事態宣言を受けて既に休業に入っているホテルも出ているが、賃料支払いや休業中の人件費補償など固定費負担が事業者に重くのしかかる。
県ホテル協会の平良朝敬会長は「運転資金が足りなくなり、倒産する企業が出てくるのは目に見えている。早めの支援が必要だ」と訴える。
沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「事業者はやむなく休業しているが、安心して休業できるよう手厚い支援が必要だ」と行政の支援を求めた。
移動の自粛で航空機の搭乗率は20~30%で推移しており、全国に緊急事態宣言が拡大されたことでさらに落ち込む見通しだ。このため航空各社は追加減便を見込む。県内離島路線でも減便が出る可能性がある。
航空便の減少で旅客だけでなく貨物輸送にも遅延などの影響が及んでおり、日本トランスオーシャン航空の担当者は「減便でさらに物流の滞りも起こるのではないか」と指摘した。
<飲食・小売り>
飲食業界では感染拡大によって客足が止まり、県飲食業生活衛生同業組合に加盟する飲食店約千店舗のうち、半数に当たる477店舗が14日までに休業している。
同組合の鈴木洋一理事長は「歓送迎会や卒業式、入学式の書き入れ時に客足が止まり、飲食店は資金が回らなくなっている。休業要請が出され、協力する店舗には補償をしてほしい」と窮状を訴えた。
百貨店、コンビニ、スーパーを展開するリウボウホールディングスの糸数剛一会長は「感染を止めることが一番の対応だ。経済的に損失も出るが、一度感染を止めないことには収まらない」と対象地域の指定に理解を示した。
延べ床面積千平方メートル超の店舗は、県知事が状況に応じて営業中止などを指示できるようになり、東京では緊急事態宣言後に百貨店が臨時休業に入る動きがあった。
糸数会長は「ライフラインのスーパーとコンビニは運営するが、デパートリウボウは地下の食品以外の店は閉めることになるだろう」と述べ、17日以降に示される休業要請の中身を見ながら対応していく考え方を説明した。
<遊技施設>
先行する7都府県の事例を見ても、パチンコ店など遊技施設は休業要請の対象となる可能性が高い。パチンコ店運営などの県内23法人が加盟する県遊技業協同組合の山田聡専務理事は「(営業)自粛となれば収入が無くなり、経営が苦しくなる店舗もあるだろう。要請が出たら、重く受け止めて組合として対応していきたい」と述べた。
県ボウリング場協会の米須義明会長は「終息させるためには仕方がない」と理解を示す。既に会員店舗の3分の2は休業に入り、リーグ戦やコンペの自粛も続いたことで、売り上げは7~8割減となっている。米須会長は「やむを得ず営業を自粛する事業者へ給付金などの対応が必要だ」と述べた。