政府が緊急事態宣言の対象地域を7都府県から全国に拡大した16日、「遅いぐらいだ」と国の対応を疑問視する声や「今後が見通せない」と地域経済への影響を危惧(きぐ)する声が沖縄県内各地から相次いだ。
「遅いぐらいだ。もっと早くても良かった」。宮古島市で医師として働く岸本邦弘さん(58)はこう指摘した。県内の感染者は16日現在で既に95人と広がっており、宮古島でも感染者が出ることへの危機感をあらわにした。「行動制限も重要だが、離島圏は医療資源が限られている。集団感染を出さないためにも、検査態勢の拡充が最も必要だ」と強調した。
一方、対象地域の知事は休業要請などさまざまな対策を取ることが可能になるため、制限が拡大されることに対する不安を感じている人も多い。
うるま市のスーパーを訪れていた中本安洋さん(69)は「このままでは経済が回らない。今後どうなるか、先が見通せなくて暗たんたる気持ちになる」と地域経済の活気がなくなってしまうことへ不安を募らせた。
大宜味村の看護師の男性(62)は「北部でも感染が確認され、緊張感がある」と話す。男性が勤める病院では、入院患者の外出を控え、家族の面会を禁止するなど対策を取ってきた。「今後さらに制限が増え、患者さんやその家族がストレスをため込んでしまわないか心配だ」と戸惑いを隠せない様子だった。
介護関係の企業に勤める西河紀仁さん(34)=那覇市=は「外回りをしていたので、(緊急事態宣言のニュースは)知らなかった」と驚いた様子。「自分が高齢者に感染させてしまうのではないかという不安がある。でも、介護職は休むことができないだろう」と板挟みの心境を語った。