辺野古軟弱地盤は「公知の事実」那覇地裁が判決で言及 関連訴訟に影響も アセスやり直しも迫る


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 名護市辺野古の新基地建設を巡り、県による埋め立て承認撤回を国土交通相が取り消した裁決は違法だとして、市民が国を相手に裁決の取り消しと執行停止を求めた訴訟の那覇地裁の判決で、大浦湾の軟弱地盤の問題が「公知の事実」であるとの見解を示していることが18日までに分かった。専門家は「司法がここまで踏み込んだ見解を出すのは異例だ。今後の関連訴訟にも大きな影響があるだろう」と指摘した。

 那覇地裁が13日に言い渡した判決は、沖縄防衛局による基地建設工事が続く大浦湾で明らかになった軟弱地盤について「軟弱地盤問題が実際に存在することが、その後政府も認めて公知の事実」と指摘。その上で「軟弱地盤問題の存在に伴う工事作業の増量及び長期化を考慮した被害の程度を量る必要がある」とし、地盤改良工事により住民に与える被害を試算する必要性に言及した。

 また、「設計の概要の変更につき沖縄県知事の承認を受ける必要がある、それに際して改めて環境影響評価が実施されるべきこと」とし、地盤改良に伴う環境影響評価(アセスメント)のやり直しが必要との見解も示した。

 防衛省は軟弱地盤の改良工事に向け、有識者による技術検討会や環境監視等委員会での議論がまとまり次第、設計変更を県に申請する。

 三重大学人文学部の前田定孝准教授は、「裁判所が軟弱地盤の存在について『公知の事実』と判断したのは重い。環境アセスのやり直しの必要性にまで踏み込んだ判断はこれまでになかった。これで軟弱地盤の問題について国はなかったことにできなくなった。国がアセスをしない選択肢もあり得るが、その場合は安全性の根拠を示さなければならなくなってくる。関連訴訟の進展にも影響が出てくる可能性もある」と話している。