那覇市と南風原町でつくる那覇市・南風原町環境施設組合は4月から、事業者が出す一般廃棄物の処理手数料を増額改定した。加えて那覇市は4月から、事業活動で出る瓶などのごみを産業廃棄物として扱うことを厳格化したため、ごみを出す事業者(排出事業者)は処理業者に処理料を支払うことになった。これらの変更に新型コロナウイルス感染拡大の影響による不況が重なり、排出事業者からは「経営が厳しい」との声が上がる。
■動機付け
那覇市・南風原町環境施設組合のごみ処理原価は、最新の2018年度の数値で10キログラム当たり285円となっている。今年3月までは10キログラム当たり110円を排出者が負担するごみ処理手数料で賄い、残りの175円を市が負担する形だった。周辺市町村の処理手数料は10キログラム当たり60円で、那覇市の手数料は県内では高い方だ。
市は昨年3月の市環境審議会からの答申も踏まえ、ごみ排出抑制および資源化へのインセンティブ(動機付け)となるように、処理手数料の増額を決めた。昨年10月の那覇市・南風原町環境施設組合議会で手数料条例を改正する議案が可決された。今年4月からは排出者の手数料は10キログラム当たり110円から130円に上がった。
市内の事業者が出す瓶などのごみはこれまで、市の再生処理施設エコマール那覇リサイクル棟に運ばれ、処理は無料だった。だが、同施設に運ばれる瓶などのリサイクルを担う日本容器包装リサイクル協会は本来、家庭の一般廃棄物を受け入れ対象としている。同協会の指摘などを受け、市は事業者が出す瓶などを産業廃棄物として処理することを厳格化した。
■周知不足
これらの変更の影響を大きく受けるのは生ごみを出したり瓶のごみを出したりする飲食店だ。飲食店は新型コロナの感染拡大による打撃も受けている。市内のある飲食店は「これまで月1万円程度だったごみ処理の経費が2倍以上に増えた」と嘆く。市は各事業所に変更を通知する文書を送ったが、完全には行き渡っておらず周知不足も課題だ。
廃棄物処理法では「事業者は事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理しなければならない」と定められており、市の担当者は「処理費用は事業活動の必要経費だ」と指摘する。「(新型コロナと)時期が重なって厳しいのは分かるが、紙パックの酒を使って瓶ごみを減らすなど、工夫してコストを見直してほしい」と求めた。
ごみ処理手数料は、ごみ運搬業者を通して払う形で運搬料に上乗せして排出事業者と運搬業者が契約する場合が多い。そのため、運搬業者が今回の処理手数料改定に伴い契約料を上げる際に、排出事業者が難色を示すケースも考えられる。市の担当者は「処理手数料は排出者負担であり、適正価格で契約してほしい」と呼び掛けた。
(伊佐尚記)