辺野古設計変更 海底に砂ぐい7万本、護岸の配置も見直し


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 沖縄県名護市辺野古の新基地建設に伴い、政府が21日に申請した設計変更。その主な内容をまとめた。

<地盤改良>

 地盤改良工事では、大浦湾側に広がる軟弱地盤(66ヘクタール)を固めるため、海底に砂ぐいなど計7万1千本を打ち込む。

 サンドコンパクションパイル(SCP、砂ぐい、1万6千本)、サンドドレーン(SD、砂ぐい3万1千本)、プラスチック材などを使ったくいを使うペーパードレーン(PD、2万4千本)の3工法を計画している。

 SCPに必要な海砂は217万7100立方メートル、SDは130万9千立方メートルに上る。

 軟弱地盤が深い地点に及ぶ護岸建設予定地の直下では、締め固めた砂のくいを打ち込み、軟らかい地盤と置き換えるSCPを用いる。護岸内の埋め立て区域は、地盤の水分を抜いて地盤を固めるSDで進める。これら2工法は専用船を使い、作業期間として3年6カ月を見込んでいる。

 その後、浅瀬の軟弱地盤を7カ月かけて改良するのにPD工法を用いる。

<埋め立て>

 防衛省は辺野古漁港付近で計画していた埋め立て(約4・6ヘクタール)を取りやめる。その現場は、資材などを置く作業場にする予定だったが、現在埋め立てが進む場所で代用するため不要になったという。全体の埋め立て面積は当初計画の157ヘクタールから152ヘクタール(うち66・2ヘクタールが軟弱地盤)となる見通しだ。

 設計変更では、大浦湾側の埋め立て海域を区切る「中仕切り護岸」の配置を見直す。地盤改良工事と並行して軟弱地盤のない区画の埋め立てを進めるためだ。沿岸部の区画から埋め立て、最後に軟弱地盤が広く、深い地点まで及ぶ東側を埋め立てる工程を描く。

 また「中仕切り岸壁」の建設を取りやめ、その建設予定地に海上から土砂を陸揚げする場所(揚土場)を2カ所設置する。護岸を閉め切る前に土砂を投入することも検討しており、環境への影響が懸念される。

<投入土砂>

 防衛省は、埋め立て工事で海砂に代わり、公共工事で発生した残土やリサイクル材の使用を設計変更に盛り込んだ。これらに岩ズリや山土を合わせて埋め立てに使用する。

 埋め立てに必要な土砂は辺野古漁港付近の作業場の建設取りやめで、当初から42万立方メートル減少したが、計2020万立方メートルの土砂が必要となる。

 地盤改良では必要な土砂量が増大する見通しだ。地盤改良は三つの工法のうち、ペーパードレーン工法以外で海砂を用いる。

 埋め立てに必要な岩ズリは当初、県内外での採取が検討されていた。だが設計変更に伴う見直しで「必要量を県内から調達することが可能」(防衛省)だとして、県内分の調達量を拡大させる。地盤改良に必要な海砂についても、県内での調達を見込む。県内調達にこだわる背景には外来種侵入を規制する県の「土砂条例」適用を避ける狙いがある。