悲願のJ1チーム誕生へ、期待を背負う闘将


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2018年12月14日、サッカーJ3を制してJ2昇格を決めていたFC琉球が球団HPで新監督就任を発表した。就任が決まったのはJ1~J3の全カテゴリーで指揮を執った経験を持つ樋口靖洋監督。FC琉球といえば、前監督が築いた「3-1で勝つ」超攻撃的サッカーが特徴のチームだ。樋口監督はHP上でインパクトあるコメントを記した。

 「沖縄の青い空 澄み渡る海には、守備的なサッカーは似合いません」

 選手が入れ替わり、新体制に少なからず不安を抱いていたサポーターの心を引き寄せた。

2018年12月からFC琉球で指揮を執る樋口靖洋監督

2018シーズンの熱狂

 樋口監督が就任する前の2018シーズンは琉球にとって快挙の連続だった。金鍾成(キム・ジョンソン)前監督の就任3年目で、カウンターのリスクを背負いながらも前に向かい続ける超攻撃的サッカーが浸透。11月のホーム戦で上位の群馬を4-2で下し、残り3試合を残してJ3優勝とJ2昇格を決めた。シーズンを通してホーム戦は負けなし。サポーターを熱狂させた。

 J2での躍進に期待が膨らむ中、12月に入って突然、金監督の退任が発表された。続くように複数の主力選手もチームを離れた。「プロの世界では仕方のないこと」。とサポーターや関係者は納得しながらも、不安の色は隠せなかった。

 そんなときに発表されたのが樋口監督の「沖縄の青い空 澄み渡る海には、守備的なサッカーは似合いません」の言葉だった。

J3優勝とJ2昇格に喜びを爆発させるFC琉球の選手らとサポーター=2018年11月3日

ホーム無敗のJリーグ記録

 シーズンが開幕すると、樋口監督は言葉通り攻め抜く姿勢を貫いた。開幕4連勝と好スタートを切ると、30試合連続ホーム無敗というJリーグ記録を打ち立てた。22チーム中14位というJ2初年度としてはまずまずの成績で、残留を決めた。

試合後、選手らと勝利を喜ぶ琉球の樋口靖洋監督(手前)=2019年2月24日

 選手が得点を決めると、ベンチでひときわ大きなガッツポーズが飛び出す。体全身で喜びを表現する姿が印象的な指揮官だ。2003、04年に横浜F・マリノスのコーチとしてリーグ優勝に貢献。13年は監督として、21年ぶりの天皇杯優勝に導いた。数々の功績を残してきた闘将の1人だが、人柄はおおらかで、選手には「主体性」を求める。選手のことを常に気にかけ、練習後の自主トレーニングでもそれぞれの動きを確認して回る。

 昨シーズンでJ1昇格に必要なJ1ライセンスを取得し、最高峰への道筋も見えてきた。飛躍を期す今シーズンは、新型コロナウイルスの影響でこれまでに経験のないシーズンになった。樋口監督は開幕前、ファンの前でこう誓った。「皆さんがサッカーの魅力にとりつかれるようなプレーを体現したい」。ここ一番の大きなガッツポーズが飛び出す日まで、虎視眈々と準備を整える。

(喜屋武研伍)

 

他の「ことば」を探す

 

あなたにとって忘れられないアスリートの「ことば」はありませんか?

感動した、励まされた、ふと目にとまった・・・心に刺さったことばを教えてください(沖縄に関係がある人のことばに限ります)。

心に残るアスリートの「ことば」募集
https://ryukyushimpo.jp/inquiry/entry-1112621.html