「もう過半数は無理」 公明県議選取り下げに自民困惑


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 公明党が新型コロナウイルス感染拡大防止を理由に公認候補を取り下げたことで、県内政界に波紋が広がっている。とりわけ、公明と選挙協力を結び、今県議選で「過半数奪還」を最重要課題に掲げている自民党内からは困惑の声が相次ぎ、「事前に何も聞かされていなかった。もう過半数は無理だ」と嘆き節も漏れる。

 県政野党の自民は2008年の県議選で少数与党に転落して以降、主導権を現与党である社民、共産などの革新政党に握られる状態が続き、対立案件になりやすい予算関連では、独自に提出する修正案が否決されるケースが常態化している。今県議選では、18年1月の南城市長選以来、公明と連携する元維新を合わせた三つの勢力での過半数獲得を目指し、候補者の選挙区調整に奔走した。そのかいもあって浦添市区(定数4)と宜野湾市区(定数3)では保守系候補の乱立を防ぐことに成功した。

 しかし、公明党が公認候補を取り下げたことで浦添市区は無投票の公算となった。同区は公明の金城泰邦氏を含めて自民、共産、社大、無所属の5人が出馬を予定し、少数激戦の選挙区となっていた。同区は前回落選した保守系候補が出馬を見送ったことで、3議席を有する県政与党内から議席減への警戒感が強まっていた。そのため、与党内からは今回の公明の対応を歓迎する意見が大勢だ。

 一方、動向が注視されるのが予定候補者が最も多い那覇市・南部離島区(定数11)だ。現職の糸洲朝則氏の後継として出馬予定だった糸数昌洋氏の辞退で、糸数氏の公明票がどこに流れるかが注目される。自民県連幹部は「すべてが別の公明候補に流れるとは考えにくい。那覇だけをみると自民候補が優位になる」と予想した。

 対する与党からは「与党候補が最下位争いで議席を減らすかもしれない」とみている。